小保方晴子さん「本物の画像」提出へ 3分でわかる経緯まとめ【4月18日版】

STAP細胞をめぐる論文不正疑惑。混迷を極めたこの問題を「そもそも」から振り返ってみよう。
Open Image Modal
Haruko Obokata, a researcher at Riken research institution, attends a news conference in Osaka, Japan, on Wednesday, April 9, 2014. Japans Riken research center said on April 1 some data were falsified in a pair of studies that had outlined a simpler, quicker way of making stem cells. Obokata, who had led the studies, told reporters today she was able to replicate STAP stem cells more than 200 times. Photographer: Tetsuya Yamada/Bloomberg via Getty Images
Bloomberg via Getty Images

STAP細胞の論文不正疑惑をめぐる問題で、理化学研究所の小保方晴子さんは4月17日、本来、論文に掲載すべきだった画像など追加の資料を用意していることが明らかになった。小保方さん個人が不正を行ったと結論づけた理化学研究所の最終報告に不服申し立てをしており、これを補足する資料になるという。

この問題の経緯を振り返った。

■そもそもSTAP細胞とは

STAP細胞は、どんな組織にでも変化できる機能を持った多能性細胞の一種で、臓器や筋肉に変化することから、医療への応用が期待された。同じ多能性細胞のiPS細胞やES細胞と比べて作り方が圧倒的に簡単で、刺激を与えるだけでできるとされていた。

哺乳類(ほにゅうるい)の体細胞に外部から刺激を与えるだけで、未分化で多能性を有するSTAP細胞に変化するというもの。これまで発見されたES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)といった多能性細胞と比較して作製法が格段に容易であり、またこれらの細胞にはない胎盤への分化能をも有することで、今後、再生医療等への貢献の可能性が大きいと期待された。

(コトバンク「STAP細胞 とは」より)

■ネイチャーに提出された論文の概要

論文の要旨は大きく分けて(1)STAP細胞の作り方、(2)マウスでの実験、(3)再生医療応用のためのSTAP幹細胞の作り方、の3つからなる。

(1)のSTAP細胞の作り方では、マウスの脾臓から取り出した「T細胞」と呼ばれる細胞を弱酸性の溶液に浸した後に培養すると、1週間で多能性を持つ細胞になるとされ、これがSTAP細胞と名付けられた、というもの。

(2)のマウスでの実験では、STAP細胞に蛍光色を付けて受精卵に導入、生まれたマウスの全身の組織に蛍光の細胞が確認されたとする。

(3)のSTAP幹細胞の作り方では、(1)で作ったSTAP細胞のままでは増殖せず、再生医療へ応用できないため、増殖する能力を持つSTAP「幹」細胞を培養する方法が書かれている。

しかし、論文中の証拠となるマウスの筋肉の写真が博士論文からの転用だったこと、遺伝子の実験データに改ざんのあとがあったことなどがネットユーザーらによって指摘された。また、論文の根幹をなす、STAP細胞がT細胞からできていることを示す証拠も明らかでないことが判明し、理研は最終報告書で不正があったと認定した。しかし、小保方さんは「自己流で研究をしてしまったミス」として、悪意を否定している。

Open Image Modal

理研が最終報告で指摘した論文中の画像転用

■経緯を時系列で

1月28日 理研が記者会見でSTAP細胞について発表

1月29日 理研、プレスリリースを公開。科学誌「ネイチャー」の電子版で論文が掲載される。国内外のネットユーザーによる検証が始まる

1月31日 過熱する取材に小保方さんが自粛を求める

2月5日 論文の共同著者でハーバード大のチャールズ・バカンティ教授がSTAP細胞とされる写真を公表

この間、論文に対しての疑義が高まったほか、追試試験で失敗の報告が相次ぐ。

2月13日 「不自然な画像がある」との指摘に理研が調査を開始も「論文成果そのものはゆるがない」とコメント

2月17日 科学誌「ネイチャー」も調査を開始したと発表

2月21日 バカンティ教授が「ささいな間違い」と擁護

3月5日 理研がSTAP細胞の作り方を公表

3月10日 共同研究者でマウスの実験などを行った山梨大の若山照彦教授が「研究の根幹が揺らいだ」として論文の撤回を呼びかけ

3月14日 理研が疑惑について中間発表。小保方さん自身の博士論文からの画像転用を認める

3月14日 小保方さん、疑惑について「下書きで使った物が残っている」と弁明

3月17日 理研が外部専門家も入れた独自の調査委員会を設置し、調査を始めることを明らかにした。また、ホームページからSTAP細胞に関する記事を削除した

3月20日 バカンティ教授が小保方さんの論文を「読んでなかった」と話す

3月21日 バカンティ教授、小保方さんと違う方法のSTAP細胞作成手順を公開

3月25日 実験に使用されたマウスとは異なる遺伝子が、小保方さんが提供した細胞に含まれていることが判明

4月1日 理研が最終報告書を発表。小保方さん個人による不正行為があったと認定

4月1日 小保方さんが反論コメントを発表

4月7日 理研がSTAP細胞の作成を再現について、1年かけて検証すると発表。検証チームに小保方さんは含まず

4月7日 小保方さん、9日に会見をすると発表

4月7日 早稲田大学が小保方さんが所属した先進理工学研究科の博士論文すべてを調査。不正が見つかった場合は学位取り消しを検討すると報道される

4月8日 小保方さん、理研に不服申し立て

4月9日小保方さんが記者会見。ミスについては謝罪も、悪意や論文の撤回は否定した。また、STAP細胞の存在についても「あります」と明言

4月9日 理研の野依良治理事長が今回の問題の背景について、「若手研究者の倫理観や研究の不足」と国会で発言

4月9日 バカンティ教授、小保方さんの会見について「コメントはない」と発言

4月10日 小保方さんの上司で、研究を指導していた理研発生・再生科学総合研究センターの副センター長 笹井芳樹氏が会見を行うことを表明。「STAPは本物の現象」とコメント

4月12日 朝日新聞が、論文中にはメスのマウスのSTAP幹細胞についてのデータが記載されているが、実際にはオスのマウス由来の幹細胞しか作っていないのでは、との疑惑を報道

4月14日 小保方さん、弁護団を通じてコメントを発表。朝日新聞の報道を否定し、実験を行った若山氏が調べていなかったマウスにメスが含まれていた、と主張。STAP細胞を作った第三者の名前や、作り方の詳細については明言を避けた

4月16日 小保方さんの上司で、論文の共著者でもあった笹井芳樹さんが会見。論文の取りまとめは行ったが、研究そのものには関与していなかったと述べた。不正かどうかはコメントせず、論文は撤回すべきと主張。STAP細胞は「有力な仮説」とするにとどまった。

4月16日 笹井さんの会見後、小保方さんが「(笹井さんに対して)本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。申し訳なさすぎて、ことばになりません」とのコメントを発表

4月17日 小保方さん、弁護士を通じて、論文に本来貼るべきだった画像など、追加の資料を作成し、理研に提出する意向を発表した

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています