STAP細胞の論文をめぐる問題で、理化学研究所(理研)が設置した外部有権者による改革委員会は6月12日、小保方晴子さんらが所属する「発生・再生科学総合研究センター(CDB)」を解体することなどを求める提言書を公開した。
同じ日に開かれた改革委員会の記者会見では、委員らがこの問題について「世界の3大不正の一つ」「教科書になる」などと発言。被害は理研だけにとどまらず、今後発表される日本の研究者の論文全体にも影響が及ぶ可能性を指摘した。
■「世界3大不正の一つ」
委員長を務める東京大名誉教授の岸輝夫氏は、記者会見の冒頭でこの問題について「ヨーロッパの友達から、『世界の三大不正の一つに認知されてきた』というメールを貰った」と発言。CDBの成果主義やずさんな管理体制が高じたことが、不正につながったとして、組織の再生を求めた。
また、研究者の倫理観を研究している信州大学特任教授の市川家国氏は、STAP論文問題では様々な不正が同時に行われている点を挙げ、2002年にアメリカで起こった「超電導研究不正(シェーン事件)」や、2005年に韓国で起った「ES細胞捏造(ファン・ウソク事件)」と並び、三大不正事件の一つであると断言。「3つの事件のなかでも一番がSTAP細胞論文の問題で、これから教科書的に扱われることになる」と述べた。
■「『JAPAN』と名前がつくだけで疑われる」
市川氏はさらに、「教科書になったときに、理研が確実に真実を明らかにしなかったことが、日本として問題だ」と述べ、今後の対応次第で、日本への見方も変わるという考えを示した。
「これから若い人が論文を発表するときに、『理研』や『JAPAN』と名前がつくだけで疑われるとなると、国益に反する。
日本の科学者が真理に対してどれだけ真剣であるかを問われている。国民が科学者をどれだけ支えるかという問題でもある。
理研は問題について、深い審査をしていただきたい。そして、日本には、真実を探る技術があるということを示して欲しい」
関連記事