小保方晴子氏らは弱酸などの外部刺激で体細胞を初期化することにより、胎盤組織を含む全ての生体組織分化できる多能性を持った細胞(STAP細胞)の作製方法を世界で初めて世界的に権威のある学術雑誌、『Nature』誌2014年1月30日号に発表した。
しかしながら、BBCがStem cell 'breakthrough data inappropriately handled'と伝える様に、彼女が公表した論文には不適切なデータの処理・加工・流用、そして、文章の剽窃などが数多く認められた結果、研究内容の正当性そのものという核心部分に疑惑が向けられるに至った。本件に関する世界の知識人の理解は大体下記の様なものであろう。
'No malice' intended
Riken launched an investigation and the first findings are now being reported.
It has found that some images had been "inadvertently" left in the report and there was "no malice" intended.
However, a conclusion has not yet been reached on allegations that part of the methodology had been copied from another scientific paper or that images in the paper resemble those from Dr Obokata's previous research.
In a statement, the president of Riken, Prof Ryoji Noyori, said: "I would like, first and foremost, to express my deepest regrets that articles published in Nature by Riken scientists are bringing into question the credibility of the scientific community.
"It is extremely regrettable that significant discrepancies have been found to have been generated in the process of preparing the Nature articles for publication.
"We are investigating these discrepancies, with the understanding that it may become necessary to demand the withdrawal of the articles."
This week, a member of the research group called for the findings to be withdrawn as it was no longer clear what was right.
Prof Teruhiko Wakayama, of the University of Yamanashi, told Japanese TV: "When conducting the experiment, I believed it was absolutely right.
"But now that many mistakes have emerged, I think it is best to withdraw the research paper once and, using correct data and correct pictures, to prove once again the paper is right.
"If it turns out to be wrong, we would need to make it clear why a thing like this happened."
最近のニュース、STAP細胞論文、小保方晴子氏の博士論文から写真流用 理研認める、或いは、小保方晴子さん、早大博士論文「取り下げたい」関係者へメール【STAP細胞問題】、を読む限りでは、限りなく「黒」に近いというのが私の見立てである。
マスコミの何時もの悪い癖であるが、一か月半前に『Nature』に論文を発表した時には小保方氏が若い女性である事、割烹着を着て研究をしている事を殊更強調し思い切り持ち上げた。一方、現在の様な状況と成れば「叩けば叩く程金になる」といわんばかりの掌返しである。今回の様な問題が生じるに至った背景を真面目に検証しようとするメディアは今の所皆無ではないのか? ついては、所詮、蟷螂の斧かも知れないが原因について考えてみたい。
■早稲田大学にコピペが蔓延しているのでは?
読んで戴ければ一目瞭然であるが、この記事を書くに際してBBCから一件、ハフポストから二件の記事を引用している。ハイパーリンクする事で読者は元記事を容易に読む事が出来る。一方、BBCからはコピペしているが、これは出来れば参照記事全部を読んで欲しいのだが、それは大変という読者のために中核部分のみをピックアップしたものである。
私は研究者ではなく一介のブロガーに過ぎない。しかしながら、自分の意見を人様に伝えるのに際しこれ位は最低限度のマナーであると思っている。そして、プロの研究者には更に厳しい、「剽窃は研究者としての死」といった常識が求められると考えている。
小保方氏の早稲田時代を知ろうとしてネットに当たった所、何の苦労もなく当時の指導教官達の博士論文に拘わる不適切な行為を告発する文章を見つけた。M博士とF博士である(この告発が正しいか否かは近い内に明らかになると思う)。取り敢えず小保方氏を指導したとされる上記2名のみを参照しておくが、実際のところ殆どの教員、研究者が不適切な行為に無頓着であったのなら、「朱に交われば赤くなる」という言葉もある様に小保方氏一人を断罪にする事は不自然である。
早稲田大学での小保方氏の指導教官は当然として接触があった大学関係者全ての博士論文を含む論文に剽窃の事実がなかったか? 徹底的に検証すべきである。決して、小保方氏一人をスケープゴートに仕立て上げ一件落着を図る様な「トカゲの尻尾切り」があってはならない。
■私立大学の杜撰極まりない教員の品質管理
繰り返しとなるが、学生の指導に当たる教職員が剽窃の常習者であればその指導を受けた学生もまた剽窃の常習者となってしまう。従って、本来大学は教員の品質管理を徹底すべきなのである。しかしながら、実態は真逆ではないのか? 今回取り上げた早稲田大学に何かと比較される事の多い慶応大学の実例を参照する。
既に事件の発生から2年が経過し風化してしまった慶応大学、大学院政策・メディア研究科に嘗て所属した金正勲特任准教授の学歴、職務履歴詐称スキャンダルである。金准教授が犯した詐称は下記に要約している。金准教授は学歴、職務履歴詐称により慶応大学で特任准教授の地位を得、この地位を活用して何と政府IT戦略会議などの民間委員の肩書を得る事に成功している。
上記記事に対し上智大学の辻教授からは下記コメントを頂戴している。
辻 元 · トップコメント投稿者
業績の確認なら、ネットで簡単に出来るはず。論文リストなしに採用ということなのか?と思ってしまう。
早稲田大学に関して私が問題にしたのは研究者の作成する論文における剽窃の実態である。一方、慶応大学金准教授の問題はそもそも論文事態が存在せず、学歴、職務履歴詐称は明らかであり、どの様な審査基準でかかる怪しい人間を准教授として採用したかという事である。金准教授の教えを受けた学生が学歴、職務履歴詐称など問題ではなく、世の中を欺いて巧く世渡りする事が肝要と思っても学生を責める事は出来ない。
今回の小保方氏の一件を教訓と捉え、徹底的に大学教職員の過去に発表した論文の検証を行い、不正があった大学教職員については雇用調整を断行し、結果としての品質管理を徹底してはどうだろうか? 少なくとも、当事者小保方氏叩きに狂奔するよりは日本により良い将来を齎すと思うが。