ハフィントンポスト各国版11月14日のスプラッシュを紹介します。スプラッシュとは、ハフィントンポストのトップ記事のこと。
スペイン版では、2002年に発生したスペイン史上最悪の原油流出事故に対する国の行政責任を問う裁判の判決が下されたことを伝えています。
2002年11月13日、ガリシア地方沖を航行していたユニバース・マリン社のタンカー「プレスティージ号」が悪天候のため航行不能となり、座礁しました。船体に亀裂が生じて浸水が始まり、輸送していた重油が漏れ始めました。
プレスティージ号は当時建造されてから26年が経過しており、船倉も旧式のもので、老朽化が進んでいました。
マリン社はスペイン政府に対してスペインの港への入港許可を求めましたが、天候不良のため政府は拒否、結局、プレスティージ号は19日に沖合で船体が真っ二つに折れて沈没し、19日までの6日間で6万7000トンもの重油が流出しました。重油はガリシア沖一面に広がり、ポルトガルからフランスまで、1700キロ以上の海岸線に漂着しました。沈没した船体からはその後も流出が続きました。漁業への影響は甚大で、数万羽の鳥類が被害を受けるなど、環境破壊が深刻となりました。
この事故による環境破壊の責任を国に求めていた裁判で、裁判所は国に無罪の判決を言い渡しました。判決によると、国の責任を裏付ける確たる証拠がなく、義務を怠ったという刑事責任は問えない、というものでした。
この判決に対して、さまざまな反応が出ています。
ミゲル・アリアス・カニェーテ農業・食料・環境大臣は、事故当時の当局の対応について「おおむね良かった」としています。
アナ・パストール開発大臣は議会で声明を発表し、「決して満足はできないが、裁判所の判決に敬意を表する」と述べています。
ユニバーサル・マリン社の前CEOホセ・ルイス・ロペス・ソルス氏は「疑問の残る判決」だとしながらも、「論理的で良識的な、かつ部分的に有効な判決だ」と評価しました。
一方で、野党スペイン社会労働党のラファエル・シマンカス議員は、判決を尊重するものの、スペインで起きたなかで最悪の環境被害について政府の責任を問えないことに遺憾の意を表明し「被害にあったガリシア地方の人達にとってはフラストレーションが募る判決だっただろう」と述べました。
エコロジー政党「EQUO」は声明で「まったく理解し難い。司法制度の信用を貶めるきっかけになるだろうし、すでに信用は失墜してしまった」と厳しく批判、「ガリシアン・エスケルダ・アルタナティブ」(AGE)のアントン・サンチェス氏は「いずれ同じようなことが起きるだろう」と述べています。
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