特定秘密保護法は違憲だとして、全国で初めての訴訟が起こされた。訴えを起こしたのは静岡県弁護士会所属の藤森克美弁護士。藤森弁護士は2月13日、同法の違憲・無効確認と施行の差し止めを求めて、静岡地裁に提訴した。
特定秘密保護法は、国の安全保障に支障を来す恐れのある情報を「特定秘密」に指定指定することを柱にしている。これを漏らした公務員や民間業者らには最長で懲役10年の罰則を設ける。
藤森弁護士は、同法の下では、「違法な秘密も『秘密』とされて保護の対象となる可能性が大きい」と指摘。万が一、政府がすでに日本に大量に保有しているプルトニウムを利用して核兵器の開発を行うことがあっても、重要な秘密として国民から隠される可能性もあると訴状で述べている。時事ドットコムなどが報じた。
訴状では、秘密事項が拡大するおそれが大きく、情報機関の権限が拡大し思想・信条の自由などの憲法の基本原理に違反するなどとして無効を主張。また、同法に基づき起訴された人の刑事裁判では証拠の収集活動が同法違反に問われるおそれもあり、弁護権を侵害されるとして差し止めを求めた。
提訴後、記者会見した藤森弁護士は「国民主権でなく官僚主権の国家になってしまうことを心配している」と話した。
(時事ドットコム「「特定秘密保護法は違憲」=全国初、弁護士が国提訴-静岡地裁」より 2014/02/13 11:29)
なお藤森弁護士は、訴訟を起こした経緯について、自身のホームページで次のように述べている。
私に出来る特定秘密保護法廃棄の運動は何かと考えて来ました。廃棄を求める集会やデモ行進に参加する程度のことは出来ても、署名活動、ビラ配り等の街頭宣伝活動はしんどい。まして集会の企画・市民運動の裏方など到底できそうもありません。そこで余り無理なく自分一人でも出来る運動として本人訴訟を選択しました。もっと早い時期に弁護士が原告となり、強固な弁護団を組んで提訴があるのかなと様子を見て来ましたが、そのような動きが今のところないので、浅学非才を顧みず先陣を切ることになりました。後続訴訟を期待しています。
(藤森克美法律事務所ホームページ「特定秘密保護法 差止請求訴訟」より 2014/02/13)
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