民間宇宙輸送業を営む SpaceX が、CEO イーロン・マスクの構想による超高速旅客輸送システム Hyperloop の車輌(ポッド)を設計するコンテスト「SpaceX Hyperloop Pod Competition」開催を発表しました。学生および独立のエンジニアなどからなるチームを参加対象とし、チューブ内を高速で移動するポッドをデザイン、製作します。
参加チームは、コンテスト期間中に実際の1/2サイズでポッドの製作までを行います。また試走可能なポッドができあがったときのため SpaceX はお膝元であるカリフォルニア州ホーソンに、来年6月までに1マイルの長さをもつチューブ状のテストコースを作るとしています。
ポッドデザインの詳細な仕様は2015年8月に公開予定。コンテストへの参加締め切りは2015年9月15日に設定されています。実際に製作したポッドをテストコースに持ち込むのは来年夏の予定ですが、参加チームは2015年末までに最終的なデザインパッケージをまとめ、2016年1月にテキサス州 A&M 大学で予定される"デザインウィークエンド"イベントに参加しなければなりません。このイベントでチームは SpaceX や Tesla のエンジニア、大学の教授らによる評価・審査や技術的なフィードバックを受けることになります。
構想では、Hyperloop は時速760マイルというとてつもないスピードで専用のチューブ内を移動します。参加チームはそうした未知の領域ともいえる速度域で、安全に旅客輸送できる車体を設計することになります。
イーロン・マスクは当初より彼自身および彼が抱える SpaceX、Tesla といった企業のいずれも Hyperloop の建設や商業的な運営に関わる計画はないとしており、2~3の独立した民間企業にその構想の実現を委ねるとしました。
Hperloop構想に賛同した企業のひとつ Hyperloop Transportation Technologies 社は今年2月、カリフォルニア州に5マイルの試験用チューブを建設する計画を発表しました。また Hyperloop Technologies 社はハードウェア面での開発を開始しています。
今回の Hyperloop Pod Competition もあくまで SpaceX 社によるコンテストであり、Hyperloop の建設にあたっている各社とは関係のないものだとしています。ただ、コンテストの成果はすべてオープンソースとされる規定になっています。将来的なポッドの設計にあたり、このコンテストで出されたデザインや技術的アイデアなどが活用される可能性も十分に考えられます。
(2015年06月16日「Engadget 日本版」より転載)
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