「この研究が進めば、皆さんも宇宙に行くことができます」。宇宙開発ベンチャーのスペースウォーカー社が8月1日、東京都内で開いた記者会見で、大山よしたかCEOはこう話した。
飛行機のように翼がついた「スペースプレーン」を使って、2027年に日本初の有人宇宙飛行を目指す。
2021年に高さ9.5メートルの機体で100キロ上空での科学実験、2023年ごろには高さ14メートルの機体で人工衛星を打ち上げ、2027年には高さ15.9メートルの機体で乗員2人・乗客6人で有人宇宙飛行を目指すプランだ。高度100キロ以上の大気圏外に出て数分間、無重力と宇宙からの眺めを体験した上で、地球に帰還するという。
今回のプロジェクトには、九州工業大学での有翼ロケットの開発を進めてきた米本浩一教授が参画している。
九州工業大学での有翼ロケットの開発を進めてきた米本浩一教授が、ファウンダーとして登壇した。米本教授は川崎重工時代に「HIMES(ハイムス)」と呼ばれた宇宙往還機や、「HOPE(ホープ)」と呼ばれた日本版スペースシャトルのプロジェクトに関わっていたが、その後、計画は頓挫。
九州工業大学に映って独自に研究を進め、2015年にアメリカで実験機「WIRES#014-3」の打ち上げに成功している。
■「アメリカでの動きに乗り遅れたらまずい」
米本教授はスペースウォーカー社のファウンダーとして会見で登壇し、有人宇宙飛行を目指す理由を以下のように話した。
「HOPEの開発をめぐっては、(スペースウォーカー社役員の)淺田正一郎は三菱重工業で、私は川崎重工でやっていましたが、もうすぐ老いぼれてもしかしたら、いなくなっちゃう。そうしたら30年間一生懸命やってきたことが、また新しい世代がゼロからスタートするというのは、ちょっとまずいなという思いがあって。若い世代を繋がる良い時期かなと思いました。
ロケットの再使用技術に関してはイーロン・マスクがすごいと思ってますが、宇宙開発のコストが下がります。アメリカでの動きに乗り遅れたら、日本はまずいぞという思いもありました。有人宇宙飛行の技術は、アメリカ・ロシア・中国が持っているので日本が持つべきだろうと。逆に『なぜ、日本は有人やらないの?』という質問も多いんじゃないかなと。まずは民間がやれる形でやってもいいかなと思っています」
米本教授によると、有人宇宙飛行できる機体の開発には、先行するアメリカのヴァージン・ギャラクティック社の経営などから、1000億円程度かかるという試算を示した。スペースウォーカー社では現在、さまざまな投資家に資金提供を呼びかけているという。