失墜する「韓国大統領」たち。逮捕、収監、暗殺、亡命、自殺...

朴槿恵氏は実刑判決、逮捕された李明博氏「歴史で最後になってほしい」
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韓国の歴代大統領
時事通信社

韓国の前大統領、朴槿恵(パク・クネ)氏に4月6日、懲役24年という厳しい一審判決が下った。3月には李明博(イ・ミョンバク)元大統領が収賄などの容疑で逮捕されたばかりだった。韓国大統領の経験者、全11人の人生を追った。

■逮捕者は4人、政治構造上の問題を指摘する声も

退任後に本人が逮捕されたのは4人。全斗煥(チョン・ドゥファン)氏が無期懲役、盧泰愚(ノ・テウ)氏が懲役17年の判決を受けている。

さらに「建国の父」李承晩(イ・スンマン)氏は亡命し、軍事政権を率いた朴正熙(パク・チョンヒ)氏は暗殺され、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は収賄容疑で捜査中に自殺した。

韓国では大統領が絶大な権力を持つ。検察、国家情報院、国税庁、警察庁に至るまで、国家の権力機関の長をすべて任命する政治構造上の問題を指摘する声もある

古い政治文化の刷新を呼びかける文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、保守政権時代の追及の手を緩める気配はない。李明博氏は3月に地検に出頭したさいに「願わくは歴史で今回のことが最後になってほしい」と述べていたが、その通りになるだろうか。

(以下敬称略)

01.李承晩(イ・スンマン) ⇒ 亡命

初代~第3代、在任期間:1948~1960年 

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李承晩(イ・スンマン)
時事通信社

建国の父。選挙不正に反発するデモが全国に拡散したことで辞任。ハワイに亡命した。1965年、ハワイで死去した。

02.尹譜善(ユン・ボソン) ⇒ 有罪判決

第4代、在任期間:1960~62年

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尹譜善(ユン・ボソン)
時事通信社

軍事クーデターを受けて大統領を辞任。野党政治家として活動した。

1976年に金大中氏らと朴政権の退陣を求める「民主救国宣言」を発表したことで、民衆を扇動し政府転覆を企図したとして起訴され、有罪判決を受けた。ただし朝鮮日報によると、刑の執行免除などにより収監はされなかったという。

03.朴正熙(パク・チョンヒ)⇒ 暗殺

第5~9代、在任期間:1963~79年

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朴正熙(パク・チョンヒ)
時事通信社

1961年の軍事クーデターで、権力を手中にして、1963年に大統領就任。開発独裁で「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長をもたらした。在任中の1979年、元側近にピストルで殺害された。

■04.崔圭夏(チェ・ギュハ)⇒ 刑事告発

第10代、在任期間:1979~80年

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崔圭夏(チェ・ギュハ)
時事通信社

朴正煕の暗殺時に首相だっため、大統領権限代行となった後、約8カ月間在任した。韓国の歴代大統領の中で在任期間は最も短い。1980年5月には軍部が民主化デモを鎮圧した光州事件が発生。同年8月に大統領職を辞任した。

朝鮮日報によると、1989年12月の国会光州特別委員会の出席要求や任意同行命令などを全て拒否し、国会侮辱罪などで刑事告発された。ただしその後、起訴猶予処分を受けている。

05.全斗煥(チョン・ドゥファン) ⇒ 無期懲役

第11〜12代、在任期間 1980~88年

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光州事件と一族の不正で国民に謝罪会見をする全斗煥前大統領(1988年、ソウル)
AFP時事

1979年の朴正熙暗殺後、クーデターを指揮して軍の実権を握った。退任後にクーデターや民主化弾圧、不正蓄財などの責任を問われ、97年に無期懲役刑が確定。

同時に追徴金約2200億ウォンを言い渡されたが、特別赦免により釈放された。

06.盧泰愚(ノ・テウ)⇒ 懲役17年

第13代、在任期間 1988~93年

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記者会見する韓国の盧泰愚大統領(1990年、東京・千代田区内幸町の日本記者クラブ)
時事通信社

1979年の朴正熙暗殺後の軍事クーデターに参加。全斗煥氏らとともに、軍の実権を握った。88年のソウルオリンピックで開会を宣言した。退任後の97年、クーデターや不正蓄財の責任を問われ、懲役17年と追徴金約2630億ウォンが確定したが、特別赦免により釈放された。

07.金泳三(キム・ヨンサム)⇒ 次男逮捕

第14代、在任期間 1993~98年

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労働関係法改正と国内で続いている同法改正の撤回を求める大規模なストライキについて記者会見する金泳三大統領(1997年・ソウル)
AFP時事

全斗煥以後の軍事政権から久しぶりに民政に移管した。1993年の大統領就任後、軍の改革と不正摘発を進め、95年には盧、全両大統領経験者が相次いで逮捕された。政権末期の97年、次男が業者から不正資金を受け取り逮捕、有罪判決を受けた。

08.金大中(キム・デジュン)⇒3人の息子が逮捕・起訴

第15代、在任期間 1998~2003年

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ソウルの国会で行われた就任式で宣誓する金大中大統領(1998年)
AFP時事

大統領としては、北朝鮮に対する融和的な「太陽政策」を推進し、2000年に北朝鮮の金正日労働党総書記と初めて会談。

産経ニュースによると、任期1年を切った2002年5月、三男弘傑(ホンゴル)が36億円にのぼる賄賂を受け取った疑いで、6月には次男、弘業(ホンオブ)が脱税などの疑いで逮捕された。国会議員だった長男、弘一(ホンイル)も人事をめぐって賄賂を受け取ったとして、金大中の退任直後に在宅起訴された。

09.盧武鉉(ノ・ムヒョン) ⇒ 自殺

第16代、在任期間 2003~2008年

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不正資金疑惑の事情聴取を受けるため、ソウルの最高検に到着した盧武鉉前韓国大統領(2009年 ソウル)
EPA時事

金大中に続く左派系の大統領。北朝鮮に対する融和政策を進め、金正日労働党総書記との第2回南北首脳会談を実現した。2009年、金海市にある自宅の裏山から飛び降り、死亡した。

最高検は、有力後援者が前大統領の家族に提供した計640万ドルの資金がわいろに当たるとみて、収賄容疑で捜査中だった。

10.李明博(イ・ミョンバク)⇒ 逮捕

第17代、在任期間 2008~2013年

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韓国ソウル中央地検での聴取に先立ち、声明を読み上げる李明博元大統領(韓国・ソウル)
EPA時事

保守系のハンナラ党出身の大統領だった。2018年3月23日、収賄、背任、脱税、職権乱用などの容疑で逮捕された。

大統領在任中に、国家情報院に特別活動費を上納させたほか、李元大統領が実質的な所有者と言われる自動車部品会社を通じて多額の秘密資金を作り、さらに訴訟費用をサムスン電子に負担させた見返りに、サムスンの李健熙会長に恩赦を与えた疑いが持たれている。

11.朴槿恵(パク・クネ)⇒ 懲役24年の一審判決

第18代、在任期間 2013~2017年

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2017年8月、連行される朴槿恵前韓国大統領(ソウル中央地方裁判所)
AFP時事

李明博氏に続いて保守系のハンナラ党出身の大統領。暗殺された朴正煕元大統領の長女だった。2013年2月25日に韓国史上初の女性大統領に就任したが、客船「セウォル号」沈没事故への対応や崔順実ゲート事件など一連の不祥事により、2017年3月10日に大統領弾劾が成立して罷免された。

第一審のソウル中央地裁は2018年4月6日、懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)の実刑判決を言い渡した。

参考記事: