ソニーのパソコン売却は評価。テレビは中途半端。私見だが任天堂と組んでみては?

今後ソニーはどこで戦っていけばいいのか? 今後ソニーは注力分野として、ゲーム、スマートフォン、画像センサーを上げています。スマートフォンはエクスぺリアが好調とはいえ、世界3位を目指すレベルですし、画像センサーはBtoB事業なので、収益性は高いかもしれませんが、ソニーブランドを活かせるのは限定的です。
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さて、ソニーは報道の通り、6日、テレビ事業の分社やパソコン事業の売却などを柱とするエレクトロニクス事業の再建策を発表しました。リストラに伴い国内外で約5000人の人員を削減し、スマートフォン(スマホ)やゲームなどに経営資源を集中し、事業再生を急ぐそうです。一連の構造改革に伴う費用計上や販売低迷で2014年3月期は1100億円の連結最終赤字と2年ぶりに赤字になります。これで今回、総合電機5社の3Qが出揃ったわけですが、日立製作所など4社の最終損益が改善しましたが、ソニーのみが最終赤字に転落したことになります。

私はつい、1日にソニーの事業ポートフォリオのうち、ホームエンターテイメント(テレビ、オーディオ等)、モバイルプロダクツ(PC、携帯端末等)の投下資本の規模、EPの損失があまりにも大きく、仮にどんなに音楽や、ゲーム、映画で稼いだとしても、企業価値には大きくは反映されず、焼け石に水の状態ということになり、この大赤字の2つのセグメントの投下資本を回収する方向しか、業績改善は難しいと書いたばかりでした。

再度書きますが、事業ポートフォリオの評価に、Economic Profit 法(EP法)というのがあります。EP とは事業活動から得られた利益から,投下資産にかかる資本コスト相当額を差し引いた経済価値ですね.つまり投資した資本に対して,一定期間(短期間)でどれだけのリターンを生み出したかを事後的に計測し、企業が将来の創出する EP を現在価値に割り引いたものの総和を求める方法です

計算式は、EP = NOPAT-投下資本×WACCです。

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※ROIC

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※ソニーEP

さて今回もこのリストラを企業価値の観点から書いてみます。

今回はそのうち、モバイルプロダクツセグメントのうち、「VAIO(バイオ)」ブランドで展開してきたパソコン事業は、投資ファンドの日本産業パートナーズと3月末までに正式契約を結び、新会社に移管するとか。移管とともにパソコンの企画や開発は終了、春商戦のモデルを最後に販売からも撤退するそうです。VAIOと言えば、パソコン全盛のころ、一世を風靡したブランドで非常に残念ではありますが、大英断だと思います。売却金額は400億~500億円との見方もあり、実際のモバイルプロダクツの投下資本「(流動資産+固定資産)-(流動負債-短期借入金)-負ののれん」1兆6000億円超のうち、どのくらいを回収できるのかわかりませんが、それなりの効果はあると思われます。

一方でテレビ事業は10年連続の赤字ですが、プレスではテレビ事業を分社するのみで、まだ完全に諦めきれていないようですね。分社を機に人員削減や賃金体系の見直しなどに着手する見通しで、固定費を大幅に削減する方針だとか。さらに経営の意思決定も速め、新興国向けなど市場ごとに機動的に新製品を投入し、15年3月期の黒字化を目指すとのこと。

これではPLベースの改善にはなるかもしれませんが、投下資本を回収されない以上EPの改善は図られません。これから更に4Kに投資するそうですが、どのくらいの市場があるかも不透明ですし、競合は同じですから、競争環境は今までのテレビ事業と変わらないはずです。やはり将来的には切り離しが必要な分野かもしれません。

では今後ソニーはどこで戦っていけばいいのか?

今後ソニーは注力分野として、ゲーム、スマートフォン、画像センサーを上げています。

スマートフォンはエクスぺリアが好調とはいえ、世界3位を目指すレベルですし、画像センサーはBtoB事業なので、収益性は高いかもしれませんが、ソニーブランドを活かせるのは限定的です。となると、ゲームに大きく投資していくところですが、ゲーム業界もスマートフォンゲームに浸食されており、劣勢な部分もあります。それでもハードウェアとソフトとセットのノウハウはまだまだ優位性があると考えており、そういった部分では、あくまで私見ですが、ゲームで同様の環境にいる任天堂との組むことも一つの案かもしれませんね。かなり大きなブランドになると思うのですが。

先ずは来期のソニーの各事業ポートフォリオの改善に期待したいと思います。