国連気候変動サミット 安倍首相、オバマ大統領ら各国首脳が出席して何が語られるのか?

9月23日、国連の潘基文事務総長が主催する「国連気候変動サミット」が行われる。日本の安倍首相をはじめ、およそ120カ国の政府首脳が参加する予定だ。
|
Open Image Modal
UN secretary general Ban Ki-moon chats with US President Barack Obama (R) after posing for a family picture with other world leaders, ministers and heads of international organisations on the second day of the two-day Nuclear Security Summit (NSS) in The Hague on March 25, 2014. The world must construct a system to fight nuclear terror with the world's atomic watchdog playing a central role, a draft of the Nuclear Security Summit's final statement says. AFP PHOTO/POOL/JOHN THYS (Photo credit should read JOHN THYS/AFP/Getty Images)
JOHN THYS via Getty Images

9月23日、国連の潘基文事務総長が主催する「国連気候変動サミット」が行われる。気候変動サミットとは温室効果ガスを削減し、気候変動に対するレジリエンス(復元力、回復力)を強化することを目的とする首脳会合で、日本の安倍首相をはじめ、およそ120カ国の政府首脳が参加する予定だ。

2009年9月22日にもデンマークのコペンハーゲンで開催され、日本の鳩山由紀夫首相が2020年までに温室効果ガスを1990年比で25パーセント削減することを表明した「鳩山イニシアティブ」を発表した場としても知られている。

アメリカのオバマ政権は、9月23日にニューヨークで開かれる国連気候変動サミットでアメリカの取り組みを特に強調することになると、オバマ大統領の顧問を務めるジョン・ポデスタ氏が18日、電話会見で述べた。

ポデスタ氏は「わたしたちは今回のサミットを2つの点で重要視している。ひとつは、アメリカが率先して気候変動対策を行っていることを世界にアピールするため、もうひとつは各国首脳にもっと積極的に取り組んでもらうよう呼びかけるためだ。アメリカは『気候変動アクションプラン』を基に著しい変化を遂げたことを表明することになる」と述べ、オバマ政権が2013年6月に策定したCO2排出量を削減するアクションプランを引き合いに出した。

オバマ大統領は23日の気候変動サミットの国連総会で演説を行う。ポデスタ氏は、オバマ政権が気候変動の追加対策を行うこと、そして「演説で各国首脳が気候変動に強い関心を持ち続けるようによびかける」ことになると述べた。

一方でポデスタ氏は、オバマ大統領がサミットで2020年以降のCO2削減目標を明らかにすることはないと述べた。国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)を通じて現在行われている交渉のなかで、2015年末にパリで行われる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に備えて、締結国が2015年の第一四半期までに削減目標を提案する予定だ。

国連気候変動サミットには、120カ国の首脳が参加する予定だ。中国、インド両国の首脳は不参加だが、代理として中国の張高麗副首相とインドのプラカシ・ジャバデカール環境相が特使として派遣される。

1997年に締結された温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書では、中国とインドは発展途上国とみなされ、削減義務が課されていなかった。

「今回のように、これだけ多くの世界各国指導者が気候変動のテーマのもとに集結することは前例がない」と、国連事務局で政策調整と計画策定に携わるボブ・オール事務総長補佐は17日、ワシントンで述べた。オール氏は気候変動サミットで行われる政府高官のハイレベル協議で交渉が加速するだろうという見込みを述べた。「合意を得るためのハイレベル協議に入る前に、各国の高官たちが強いリーダーシップを発揮してくれることになるだろう」とオール氏は述べた。

気候変動に関するアメリカ政府の特使で、気候変動枠組条約の会合で交渉担当の責任者であるトッド・スターン氏は、気候変動サミットが交渉の場ではなく、2015年末にパリで行われるCOP21までに世界的な気候変動への新たな枠組みを確定するために各国首脳が取り組むよう「弾みをつける」機会となることを望んでいる。

「交渉はとても重要です。しかしそれはパズルのピースでしかありません」とスターン氏は述べる。「私たちすべてが現場で行動することを求められています。そして、今回のサミットがそうした行動を示す場となるのです」

2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催された国連気候変動枠組み条約第15回締約国会合(COP15)、および京都議定書第5回締約国会議(COP/MOP5)では、気候に関する新たな国際条約の締結が予定されていたが、失敗に終わった。この過ちを繰り返してはならないのは誰もが望んでいることだ。COP15以降、各国から気候変動に関する行動の新たな取り組みはスローペースで進み、2015年末のパリでの会合で協定が結ばれるように交渉が続けられている。

スターン氏はコペンハーゲンでの気候変動サミットと今回の違いについて、「2009年に行われた時よりも各国の目標がより現実に則したものになるという点で重要な意味合いを持ちます。2009年の時の記憶は残っているでしょうし、気候変動に関して共通の土台をもって方法を探ることになるだろう。しかし、それでも難しいテーマなのは間違いありません」と述べている。

アメリカも最終合意が1997年の京都議定書の焼き直しにならないように求めている。京都議定書では中国やインドのような主要新興国が含まれていなかったし、アメリカも批准しなかったからだ。

なぜアメリカ国内で条約を批准することが難しいのか。その理由の一つとして、アメリカが京都議定書に代わる協定を目指していたからだ。その協定が条約なのか、あるいは他の法的枠組みなのかは未だにはっきりとしない。「今回の協定の形がどのようなものになるかは、密室の協議ではなく、完全に公開の場で議論されることになるだろう」とスターン氏は18日に述べた。

オバマ政権の高官も、気候変動サミットに先駆け、アメリカが取り組む気候に対する行動の重要性を強調している。ホワイトハウスのショーン・ドノバン行政管理予算局長は19日朝、ワシントンにあるシンクタンク「アメリカ・プログレス・センター」で行われた会見で気候変動に対処する予算の必要性について述べた。

「気候変動は起きていないという主張をしたら、私たちに莫大なコストがかかることになる」とドノバン長官は述べた。「気候変動で失われるものがかさみ、それでも今起きていることに目を背けていたら、事態は悪化するだけだ」。

ジェイコブ・ルー財務長官は22日に「気候変動に取り組まないことで発生するコスト」について演説を行う予定だ。ポデスタ氏は「現職の財務長官がこうした演説を行うは初めてのことになる」と述べた。

今回の気候変動サミットに合わせて、民間団体主催の気候変動に関するイベントが数多く行われる。気候変動問題の解決を求める大規模デモ「ピープルズ・クライメイト・マーチ」が9月21日ニューヨークで行われ、10万人の参加者が見込まれている。潘基文国連事務総長もこのデモに参加する予定だ

English

【関連記事】

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています