インターネットの最先端国の米国でも、未だにソーシャルメディアの利用率が増え続けている。 Edison ResearchとTriton Digital が実施した最新の調査によると、12歳以上の米国人の73%がソーシャルメディアを利用しているという。1年前の67%から6%も利用率がアップしている。スマホからの利用が底上げしているのだろう。
この8年間のソーシャルメディア利用率の推移は次のようになる。今年の調査は2015年1月6日から2月10日までに実施、12歳以上の米国人2002人を対象に電話でインタビューした。
図1 12歳以上米国人のソーシャルメディア利用率
現在利用しているソーシャルメディア・サービスの利用率は次のようになった。新しいサービスが誕生してきており、複数サービスを利用している人が増えている。今回(2015年)と1年前(2014年)において、8種類のソーシャルメディア・サービスの各利用率を示している。成長が鈍化しているサービスも見られるが、概ねまだ伸びている。Pew Research Centerが毎年18歳以上の米国インターネットユーザーを対象に実施している調査でも、主要ソーシャルメディア・サービスは勢いよく伸び続けている。
図2 主要ソーシャルメディア・サービスの利用率
ところが、ソーシャルメディアを最も頻繁に利用している若年層の利用状況を見ると、変調が見え始めている。確かに図3のように、12歳から24歳までの10代中心の若者に絞ると、主要ソーシャルメディア・サービスの利用率は今でも一段と高くなっている。図2と比較しても明らかに、若者の利用率が低かったのはビジネスパーソン向けSNSのLinkdInだけであった。
図3 12歳から24歳までの若年層が利用しているソーシャルメディア・サービス
この1年間の若者の利用率の変化を見ていくと、変調の兆しが現れてきている。下の図4は、Edison Researchなどの調査結果をMCがグラフ化したものである。ここで注目すべきは、ソーシャルサービスの御三家とも言えるFacebook(80%→74%)、Twitter(36%→32%)、Google+(34%→26%)の利用率がこぞって落ちたことだ。一昨年あたりから話題になっている"若者のFacebook離れ"の動きが顕在化している。でもPew Research Centerが昨年発表した若年層の利用率変化(2013年と2014年)を見ると、Facebookが71%から71%、Twitterが18%から24%と落ちてはいなかった。ただPewの場合の若年層の範囲が18歳から29歳までとなっており、社会人が中心である。社会人ともなると、Facebookから簡単に離れられないのかもしれない。一方、Edison Researchの調査での若年層は12歳から24歳までの非社会人が中心なので、新しい面白いソーシャル系サービスが登場すれば、気軽に乗り移っていくのだろう。10代でのFacebook離れがジワジワ進んでいるのは間違いなさそうだ。
図4 若年層のソーシャルメディア・サービス利用率の変化
一方で若年層がなびくSNSも顕在化してきた。上図で見逃せないのが、Instagram(53%→59%)とSnapchat(45%→57%)の2サービスが共に利用率が高く、さらに伸び率も高いことだ。特にSnapchatは欧州でも利用率が高まり、最近になって企業価値も150億ドルと急上昇し台風の目となっている。ところで日本に目を向ければ、10代を中心とした若年層が利用するソーシャルメディアはLINEの独壇場なのか。
◇参考
・the infinite dial 2015(Edison Research)
・Social Media Update 2014(Pew Research Center)
(2015年3月13日「メディア・パブ」より転載)