大気汚染を減らす「光触媒」舗道

オランダにあるアイントホーフェン工科大の研究チームは、同国東部の都市ヘンゲローで導入されている「スモッグを食べる舗道」を研究してきたが、今年6月、その結果を発表した。
Open Image Modal
Smog eating paving stones form a bicycle lane on Blue Island Ave, which Chicago city officials havce dubbed the greenest street in America, are seen on April 1, 2013 in Chicago, Illinois. The $14 million project to reshape two miles of Blue Island and Cermak also includes streetlights lights that run on solar and wind power, sidewalks made with recycled concrete, and shrub-filled 'bioswales' to keep storm water out of overtaxed sewers.AFP PHOTO/MIRA OBERMAN (Photo credit should read MIRA OBERMAN/AFP/Getty Images)
Getty

オランダにあるアイントホーフェン工科大学の研究チームは、同国東部の都市ヘンゲローで導入されている「スモッグを食べる舗道」を研究してきたが、今年6月、その結果を発表した。

同チームの論文「Full scale demonstration of air-purifying pavement(大気浄化舗道の総括的実証)」によると、特殊な舗道が敷設されたその区画では、大気汚染物質である窒素酸化物が、理想的な天候条件のもとでは最高45%、1日平均では19%減少したという。

ヘンゲローでは、酸化チタン(Ti02)を利用した光触媒機能をもつ舗道が導入されている。酸化チタンは、大気汚染物質である窒素酸化物などを取り込み、より害の少ない硝酸塩といった物質に変化させることができる、と論文著者は説明している。

フランス通信社(AFP)の記事によれば、今年4月に米国のシカゴでも、自転車および駐車専用レーンに同種の舗道が導入されている。

AFPの記事はまた、酸化チタンを利用した舗道は従来品より高額であるため、現在は一部の地域でしか導入されていないと伝えている。しかし、シカゴでこのプロジェクトを担当したジャネット・アタリアン氏は、コストよりも、同市が先進的な取り組みを行っていることの累積的効果にこそ目を向けてほしいと語っている。

論文共著者のヨス・ブラウワーズ氏は、米ハフィントンポストに寄せた電子メールの中でコスト問題に触れ、シカゴと同様にヘンゲローでも、この舗道は今のところ「中心街にある複数の小さな通り」にのみ導入されていると述べた。「基礎工事や人件費を含めた総合的な敷設コストは、(ふつうの道路と比べて)10%ほどアップするだろう」とのことだ。

酸化チタンを用いた舗道が報道されたのは今回が初めてというわけではない。同種の舗道は、2006年にイタリアのセメント大手イタルチェメンティ社が発売し、米誌「タイム」が選んだ「2008年ベスト発明品トップ50」にもランクインした。

テキサス大学オースティン校の環境化学専門家ハワード・リルジェストランド博士は2006年、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記事でこう語っている。「ほんとうは、大気汚染物質を除去する方法を探すよりも、大気汚染物質をそもそも排出しない方がいい。しかしこの技術は、人間がすでに作り出した汚染物質に対処する上で役に立つだろう」。ただし、舗道における光触媒の効果は、「時間とともに薄れていく傾向がある」とも指摘している。

[Meredith Bennett-Smith (English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

関連記事