SmartNewsのゴクロが4.2億円を増資、データサイエンティストなど人材採用を加速
スマートフォン向けニュースアプリ「SmartNews」を開発、運用するゴクロが今日、グロービス・キャピタル・パートナーズを割当先とする第三者割当増資を実施して4億2000万円を調達したと発表した。増資実施後のゴクロの資本金は4億8000万円となる。
SmartNewsはiPhone、iPad、Android向けアプリとして提供されていて、事前にダウンロードしたコンテンツをモバイル端末に合わせた独自UIで読めるニュースアプリ。メディア各社と提携していて、現在25社43媒体と提携、もしくは協業が進行中という(情報開示:TechCrunch Japanも協業媒体の1つ)。ダウンロード数は公開されていないが、2013年7月8日現在でiOS版の評価平均が4.66(8527人の評価)、Android版の評価平均が4.58(3379人の評価)というから評判は上々のようだ。
ニュースのアグリゲーション・キュレーション市場では、SmartNews以外にもGunosyや、Anntena、Flipboardなどがある。Antennaを運営するグライダーアソシエイツが8月8日にマクロミルから15億円の出資をすることを発表しているなど注目分野だ(もっともAntennaへの出資についてはバリュエーションが過大ではないかという意見も各方面から聞こえてくるが)。
SmartNewsは単にモバイル画面で見やすいニュースということではなく、今回の増資でエンジニアや「データサイエンティストを採用する」と明言しているように、情報のフィルタリングが1つのキモだ。ゴクロの鈴木健氏がTechCrunchに語ったところによれば、ユーザーに届ける記事の選別は、Twitterで得た情報を独自開発のリアルタイム解析技術「Crowsnest」を使って行なっている。
また、OSネイティブの描画コンポーネントではなく、独自の表示エンジンを使っているのも特徴という。ページめくりのエフェクトというのもあるが、もう少し地味でありながらもUIを使いやすいものにする工夫がある。例えば、記事の見出しを形態素解析を行って品詞の連接状況から折り返し位置を決定して表示しているほか、カーニングや長体処理(文字幅を縮めたり伸ばしたりする処理)をかけることで、スマフォなど限られた画面に最適に文字が表示されるよう腐心している。OSやブラウザ標準の描画コンポーネントを使うと、特に横幅を狭めたようなときのテキスト表示では、禁則処理で無駄な空白ができてしまいがちなので、それを回避しているということだ。SmartNewsのタイル表示された記事見出しをよく見ると、一部の記事の枠に淡い色がついているが、こうした配色がなく真っ白な状態だと、ぱっと画面をみた時にどの写真(画像)がどのテキストと関係しているのか人間には分からなくなってしまう、ということもあるという。
ゴクロは今回調達した資金で、主に人材獲得を加速する。エンジニア、データサイエンティストらを中心に、現在6名の社員を1年以内に40名規模の体制する。さらに、海外市場を視野に入れた事業の準備に着手するという。
PCからモバイル、Webからアプリ、人間によるコンテンツ編成から統計処理と、いろんな流れにうまく乗っているように見えるSmartNewsですが、果たしてポストPC時代のヤフーポータルのような存在になれるのか注目ですね。