社会を変えるブログが増えてほしい|今、ブロガーこそスロージャーナリストたれ

毎日更新していく記事があっても良いですけど、ひとつ自分のこだわりをみつけて深めていく。

最近、ブロガー業界が「仮想通貨」一辺倒でつまらなくなってきましたね..。 あとは、どうやって儲けるかと、発信術。金太郎飴のごとく、同じような内容ばかり発信ばかり。海外ブログもしかり。

けどやはりブログが「上手い人」は、文章力も読み易さを考えたデザインセンスもあります。あと何よりも影響力。フォロワー数がすごい。

この力で、スロー・ジャーナリズムをやりませんか?というのが今日の僕の提案です。

早くて安くてうまい!ネットメディアが招いた悲劇

少し前に問題となったDeNAの運営していた医療メディアのWELQ。「死にたい」で検索するとトップに表示される記事に、転職サイトの自己分析サービスの広告を掲載していたことが批難されました。 このような問題は、検索流入を当てにした商業主義の記事の量産が原因です。そして似たようなことは欧米でも起きており、今提唱されているのがスロージャーナリズムです。

「早くて安くてうまい!」の現在のウェブメディア。そのアンチテーゼとオルタナティブとしての「スロー・ジャーナリズム」の重要性を語るのが、Rob Orchard。TEDで、スロージャーナリズムの可能性についてプレゼンテーションをしています。

要約すると

・この20年のウェブメディアの台頭により、これまでジャーナリズムが大切にしてきた、正確性、不偏不党性、文脈、深遠さが失われている

・「ファストフード」化したジャーナリズムの最悪の事例がペルージャ英国人留学生殺害事件で起訴されたアマンダノックスの裁判。彼女は、2007年に同じフラットに住むイギリス人女子留学生を殺害した容疑で逮捕されるも、不服申立てをする。2011年10月、「殺人罪に対する控訴が拒否され愕然する容疑者アマンダノックス」という見出しが、MailOnlineという世界で1億9千万人の月間購読者を抱える世界最大級の英語のネットニュースメディアを飾る。

・しかし、実際にはこの見出しは真逆の事実であり誤報を世界に伝えてしまった。彼女の控訴は認められ無事シアトルに戻ることになった。

・なぜこのような世紀の大誤報が起きたかというと、MailOnlineは報道のために控訴が取り下げられた場合と、認められた場合の両方のパターンでニュース記事を事前に作っておき、判決を聞いた瞬間に公開ボタンを押してしまったから。

・これは、過剰なまでにネットニュースメディアに速報性が求められるようになったから生じた問題。速報性同じくらい重要なのが記事の量、つまりボリュームだ。

・これらの条件が揃えば、Google検索でトップ3に入ることができ、そこでクリックされればより収益をあげることができる。こうして、ますますネットニュースが報道の正確性よりも速報性を求めるようになる

・スロー・ジャーナリズムは、これらの早くて安い「ファストフード化」したジャーナリズムのアンチテーズとしての新しいジャーナリズムである。

・スロー・ジャーナリズムは、スローフードやスロートラベルムーブメントのように、時間をかけて質の高さを追求するものである。

・スロー・ジャーナリズムは、ツイッター上で炎上させることでもない。

・スロー・ジャーナリズムは、事件が起きたことだけを報道して放置しない。現地に滞在し取材した数ヶ月後に再び戻ってきて共同生活をしていく中で個々のストーリーを見出す。

・スロー・ジャーナリズムは、質、知性、インスピレーションを重視し、今日の過剰な速報性を求められるデジタルニュースの解毒剤となる。

ということです。他の事例も出しながらこれらの主張を裏付けていてとても興味深いプレゼンです。日本のネットニュースメディアでも全く同じことがいえるでしょう。炎上の波に乗ろうとするブロガーも同じことですね。 そうではない、自分だけのオリジナルのテーマを持って、それを時間をかけて追求していくような、そんなブログが増えたらいいなと思うのです。そこに独自性が出てきますし。

テーマの探し方

山田ズーニーさんの大人の進路教室のLesson20「テーマと世界観」では、自分の進路や、やりたいことを探すための方法を教えています。以下の3つのキーワードに該当することを掛け合わせればいいのです。

「なりたい職業名」×「マイテーマ」× 「実現したい世界観」

「なりたい職業」がなくても、「マイテーマ」「実現したい世界観」があれば、職業にこだわる必要が無くなります。逆も然りですが、日本のキャリア教育では、「なりたい職業」ばかり重視する傾向にありますよね。 僕の解釈は、「実現したい世界観」は自分の大事にしている価値観や目指していきたい社会観(山の頂上・どんな山か)で、「テーマ」はその中で特に絞りたいトピック(どのルートで登るか)。 テーマはこうやってみつければいいと思います。

ぼくは、昔からなぜ日本の若者は社会との距離がこんなにあるのだろうと疑問に思っていました。それが今の研究テーマになっていてスウェーデンまで行ってしまったのですが...。 そういう意味で、大学での論文を書くときの研究テーマに近いものがあります。こうやってテーマを探せば、長くてくじけそうになる卒論・修論の執筆も内的な動機に基づいて書くことができます。

だからといって論文にまとめることだけが必ずしもいいとは思いません。なぜなら、論文はそもそも読まれないからです...。日本語は、口語と文語のギャップが激しいですし、ましてや学術論文となると卒論を執筆する学生か、研究者や記者くらいしか読みません。

実際にこちらの記事によると、学術論文の半分は著者と学術誌の編集者にしか読まれないという研究もあるとか...。 そういう意味で、ブログ調でわかりやすくまとまっていることって大事だと思います。単純にアイディアが広がりやすいので。 だけどファストフード化しないで、時間をかけて質を求めて、オーガニックな記事をこしらえていく。

毎日更新していく記事があっても良いですけど、ひとつ自分のこだわりをみつけて深めていく。

やりましょうよ、そんなスロー・ジャーナリズム。