近年、「1日1食」や「不食」など、食べないこと、食べる量を減らすことが著名人を中心にトレンドとして広がりつつあります。
しかも、日中のパフォーマンスUPやアンチエイジングといった生活全体のメリットを目的とする場合が多い様子。もはや「1日3食」が当たり前の時代ではないのかもしれません。
中でも、無理なくダイエットできることから注目を集めているプチ断食「ファスティング」。
これ、実は快眠にも効果的なのだとか。快眠を目指すなら寝る前の食事にも気を付けたいところですが、ファイスティングと睡眠には具体的にどんな関係があるのでしょうか?
自身も1日1食のファスティング生活を実践しているという「イシハラクリニック」副院長・石原新菜先生に教えていただきました。
■「空腹」こそが現代の不眠をなくす!?
「現代人の胃腸は常にフル稼働していて、なかなか休む暇がありません。その結果、排泄が追いつかなくなり、体内に老廃物が蓄積し、便秘やむくみ、情緒不安定になるなど、さまざまな不調が起こります。ファスティングを行うことで、胃腸の働きを休めることができ、内臓に集中していた血流を全身に行き渡らせることができます。脳の血流もスムーズになるため、満腹時よりも脳疲労を効率的に解消できるんですよ」
(石原先生)
また、意外なことに「空腹状態」はリラックス効果も期待できるのだとか。
「空腹時は、脳から快感ホルモン"β-エンドルフィン"と、気持ちを安定させる"α波"が分泌されます。空腹状態の時間をつくることで、緊張の神経と言われる交感神経の働きが抑えられ、リラックスした状態で就寝できるようになるんです。そのため夕食をとる場合は、就寝の2〜3時間前には済ませておくと睡眠の質がグッと上がりますよ」
(石原先生)
■まずは野菜ジュースから! ビギナー向け簡単ファスティング
ファスティングとひと言で言っても方法はさまざま。どんな方法が効果的なのでしょうか?
「ファスティングのポイントは、1日1〜3回ほど"空腹の時間"をつくること。1日中まったく何も食べなければいい、というわけではありません。ただ、3食しっかり食べていた人がいきなり1日に何回も空腹な状態を作るのは難しいもの。そこで、まずは1日のうち朝食だけを抜くファスティングをおすすめします。ランチはお蕎麦など軽めのものにして、夜は好きなものを食べても大丈夫。
日中どうしても空腹を感じたときは、黒糖がおすすめです。糖分を摂取することで脳が満足感を覚え、空腹感が満たされますし、黒糖は血糖値を穏やかに上昇させるので、内臓に負担をかけません。無理に空腹を我慢する必要がないので、ストレスなく続けられます」
(石原先生)
また、朝食を抜く代わりに1杯の野菜ジュースを飲むのも効果的だとか。
「朝食を抜くのが辛いときには、『にんじん&りんごジュース』をおすすめします。にんじんとりんごは、どちらもビタミンとミネラルが豊富な食材なので、栄養バランスをしっかりと補いながら満足感も得られます」
(石原先生)
にんじんとりんごは、そのまま食べてしまうと繊維を胃の中に取り込んでしまい、胃の働きを活発にしてしまうのだそう。そのため、ミキサーよりも細かくすり下ろせるジューサーでジュースにするのが重要なのだといいます。
分量の目安は、にんじん2本に対してりんご1個。しっかり洗って皮ごと使うとより効果的、と石原先生。
「朝食を抜くだけのファスティングは、続ければ続けるほど効果を実感できるようになります。ただ、無理して続けるとストレスが溜まって逆効果。つい食べ過ぎてしまった日は翌日の食事を少なめにするなど、柔軟に対応しましょう。頑張りすぎないことが、ファスティングをするうえで大事なポイント。また、1週間に3日以上ファスティングする場合は、安全を考慮し専門家の指導のもと行うことをおすすめします」
(石原先生)
"1日3食が常識"と思っている人も多いかもしれませんが、1日1食抜くだけでぐっすり眠れて体調がグッと改善する可能性もありそうです。
ダイエット目的でない人も、睡眠の質を高めるためにファスティングを試してみるのはいかがでしょうか?
Fuminners 2015年11月6日の記事より抜粋