寝台特急〈北斗星〉の廃止確定は残念

新聞各社が2014年12月5日の朝刊で、寝台特急〈北斗星〉が2015年3月のダイヤ改正をもって、定期運行から撤退する方針を固めていると報じた。これにより、ブルートレインの定期運行は57年の歴史にピリオドを打つ。
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寝台特急〈北斗星〉は国鉄分割民営化後、最初に登場したブルートレイン。

新聞各社が2014年12月5日の朝刊で、寝台特急〈北斗星〉が2015年3月のダイヤ改正をもって、定期運行から撤退する方針を固めていると報じた。これにより、ブルートレインの定期運行は57年の歴史にピリオドを打つ。

■毎日新聞の報道通りの展開

毎日新聞では、2013年11月7日付の記事で、「寝台特急〈北斗星〉が2014年度末に廃止され、お盆や年末年始に限って運行」と報じられた。私は"信じたくないけど、そうなるだろう"と思っていた。今までダイヤ改正発表前に新聞社が夜行列車廃止をスクープしていたのだから。

JR東日本、JR北海道両社が寝台特急〈北斗星〉の定期運行打ち切りを決めた理由は、北海道新幹線の試験などを夜間に行なうため、在来線(海峡線)との共用区間において、運行時間帯の確保が難しくなったことに加え、客車(1~6号車がJR北海道保有車、7~11号車と電源車がJR東日本保有車)やJR北海道が保有する機関車の老朽化が一段と進んでいた。

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車体の痛々しい姿は、列車のサービスダウンにもつながる。

特に、JR北海道保有の客車の多くは見るに堪えない姿で、車体が傷み、塗装もくすみ、北海道の過酷な環境や、会社自体の苦しい現況を物語っている(急行〈はまなす〉も同様)。以前の記事で述べたとおり、同社は青函トンネル用電気機関車ED79形の後継車投入を考えていない。

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EF510形500番代の一部は、JR貨物に移籍した。

一方、JR東日本では、2009年に「EF510形500番代」という電気機関車を15両導入し、"ブルートレインの運行継続に意欲を燃やしている"と思われたが、新型客車はついに現れなかった。

なお、2017年春にデビューする予定の豪華寝台車両、TRAIN SUITE(トランスイート) 『四季島』は、JR九州のクルーズトレイン〈ななつ星 in 九州〉と同じ"富裕層向け"で、時刻表に掲載されない列車となるだろう。

■IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、北海道道南地域並行在来線準備株式会社にとっては大きな痛手

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青い森鉄道の各駅停車は、IGRいわて銀河鉄道線―八戸間、八戸―青森間の運転が多い。

寝台特急〈北斗星〉廃止の影響は、東北新幹線盛岡以北の延伸開業に伴い、東北本線盛岡以北を引き継いだIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道にとっては大きな痛手だ。寝台特急〈北斗星〉〈カシオペア〉は重要な収入源だからである。

例えば、寝台特急〈北斗星〉の定員は217名(A寝台個室ロイヤルの補助ベッドは、カウントしていない)。満席の場合、片道1本につき、IGRいわて銀河鉄道が620,620円+線路使用料、青い森鉄道が841,960円+線路使用料となる。北海道新幹線開業時に江差線を引き継ぐ第3セクター鉄道、北海道道南地域並行在来線準備株式会社にとっても、JRグループの夜行列車は絶対に必要な存在なのだ。

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JR北海道は北海道新幹線開業を前に、江差―木古内間を廃止した。

一方、乗客の側にとっては、江差線も第3セクター鉄道に転換されると、運賃や特急料金が値上がりするので、寝台特急の利用を躊躇(ちゅうちょ)するかもしれない。

■寝台特急〈カシオペア〉の痛々しい姿

上野―札幌間を結ぶもうひとつの寝台特急〈カシオペア〉。JR東日本がE26系客車を投入し、寝台車をすべて2人用A寝台個室にして、寝台特急〈北斗星〉以上のハイグレードをウリとしている。1999年7月16日のデビューから15年経過し、現在も人気が高い。しかし、1度も増備されず、現在も1編成12両しか在籍していない。

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E26系の痕跡。

世界でたった1つしかない車両のせいか、冬の北東北や北海道で、車体に付着した雪が落下したとき、バラストや氷塊(ひょうかい)を跳ね上げ、それが車体に衝突してしまったのだろうか。車体がへこんでいる部分を見た。痛々しいとともに、"北海道新幹線開業に伴い廃止されたのち、車両も......"となるのだろうか。

★備考

・Railway Island.「夜行列車2014」

Yahoo!ニュース個人より転載)