注意力散漫は寝不足の症状! 眠れないと会話力・仕事の効率が下がる

寝不足の症状として、集中力が低下し注意力が散漫になるというのは広く知られ、たくさんの情報から自分に必要な情報だけを選ぶ「選択的注意力」が低下するという報告されています。
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みなさんは毎日、しっかりと睡眠時間を確保できていますか?

寝不足が続くと、頭がボーっとしたり、些細なことでイライラしてしまいますよね。睡眠メディアFuminnersでは、寝不足と注意力の関係について、掘り下げました。

寝不足の症状として、集中力が低下し注意力が散漫になるというのは広く知られていますが、その中でも特に、たくさんの情報から自分に必要な情報だけを選ぶ「選択的注意力」が低下するという研究結果がアメリカで報告されています。

選択的注意力が低下すると、パーティーでの会話が上手くいかない?

「選択的注意力」、あまり聞き慣れない言葉ですよね。例えば、たくさんの人が集まるパーティーなどに参加したとき、まわりがざわざわとして様々な会話が飛び交っていますが、そんな状況の中でも人は相手の話をしっかりと聞き取ることができます。これを「選択的注意力」といい、別名『カクテルパーティー効果』とも呼ばれています

「選択的注意力」が低下している場合、まわりから聞こえてくる他の会話に気を取られてしまい、しっかりと聞いておくべき話に集中できていない状態に陥るのです。

寝不足だと頭が働かず、情報の取捨選択ができない

そんな「選択的注意力」の低下の症状は、寝不足が原因で引き起こされるといいます。

アメリカのオレゴン州にあるウィラメット大学の研究チームは、普通に睡眠をとったグループと24時間寝ていないグループと2つに分け、左右の耳から内容、語り手がまったく違う2つの物語を同時に聞かせ、どちらか片方の物語のみを聞き取らせるという実験を行いました。

2グループの被験者の脳活動を測定し、集中力の程度を比較した結果、睡眠をとっているグループの脳活動は、片方の耳から入る情報を抑制する信号が出ており、もう一方の耳から聞こえてくる物語に集中していることがわかりました。

しかし、24時間寝ていないグループの被験者の脳活動を測定したところ、左右の耳から入ってくる物語への集中の程度を示す増強の信号と抑制の信号の差がほとんどありませんでした。つまり、24時間寝ていない被験者はどちらの物語にも集中しきれていないという結果になりました。

寝不足による集中力低下の症状が出るのは、ただ単に眠気で頭がボーっとしているのではなく、脳が正しく機能していないことに原因があるのです。(※1)

寝不足によって作業効率が下がり、正しい判断ができなくなる

寝不足による症状は他にもあります。

2010年に発表された研究では、「寝不足は作業効率の低下に繋がる」と指摘されています。

その研究は、若い男性26人を対象に、一晩はぐっすりと眠ってもらい、その翌日は24時間眠らずに過ごしてもらうというもの。それぞれの状態で、「風景写真」「顔写真」「風景と顔を混ぜた写真」をいくつか見てもらい、それらの写真を風景だけが写っているもの・顔だけが写っているものの2つに選別するという作業をさせたところ、寝不足の状態では画像の選別に時間がかかるうえに、精度も低下したのです。

こうした作業に必要な注意力の機能は、脳の海馬傍回場所領域(PPA)とという領域に関連しています。

海馬傍回場所領域は、顔や物体ではなく風景を認知する働きがあります前頭前皮質は、物事に対してどうアプローチするのかを考えたり、それに伴ってどう行動するのかなどに関わっているとされています。寝不足の状態だと、この2つの領域の働きが低下しているため、画像を正しく判別し、分類することができなかったと考えられます。(※2)

寝不足で「選択的注意力」が下がると、人の話を集中して聞けなくなったり、作業の効率が低下したり、様々な悪影響があることがわかりました。いずれも、仕事やプライベートのどちらにおいても欠かせない能力です。

コミュニケーションと仕事の質を下げないために、忙しい中でも睡眠時間はしっかりと確保するよう努めましょう。

参考

※2 Chee MW. et al.: Neuroimage. 2010 Jan 15;49(2); 1903-10