安倍晋三首相が検討していた、夏の参院選に合わせて衆議院を解散し、衆参同日選を実施する方針を「見送る」との報道が4月20日、相次いだ。14日から続く熊本、大分両県の地震への対応などを優先するとしている。
産経新聞は20日付朝刊で「見送る公算が大きくなった」と伝え、日本経済新聞も同午後2時すぎに「見送る意向を固めた」と報じた。日本経済新聞によると、政府高官が20日に連立相手の公明党に「解散はない」と伝達したという。
菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、衆参同日選への見通しを問われ、以下のように答えた。
「解散は総理大臣の専権事項で、安倍総理大臣は、『解散のかの字もない』と言っているということは『解散しない』ということだと思う。いずれにしろ、いつ、やる、やらないというのは総理大臣が決めることだ」
これまでも菅官房長官が同日選の見通しを否定することはあったが、日本経済新聞は「これまでより強い表現」としている。
一方で共同通信は「首相は被災地の復旧状況を見極めながら5月に最終判断するとみられる」と、現時点での「同日選見送り」判断を避けた。
これまでは、与野党が一騎打ちの構図となっている衆院北海道5区補選の結果を見極めた上で、野党の選挙協力が整わないうちに衆議院を解散すれば、衆参で与党が大勝するとの見込みがあった。背景には、安倍首相が意欲を見せる憲法改正に向け「改正の発議に必要な3分の2の勢力を参院でも確保したい」(産経新聞)との狙いがあったとみられる。
一方で衆院選となれば、被災地の熊本や大分も選挙となり、多大な負担を強いることになる。2011年3月の東日本大震災は、統一地方選の1カ月前に発生したが、震災を受けて福島、宮城、岩手の3県では県議選などが延期された。
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