自分は単に体操選手として功績を残してきたから、支持されてきたわけではなかったんだ――。
東京オリンピック・体操女子団体の試合を途中で棄権した、アメリカのシモーン・バイルス選手が、棄権して気がついた気持ちを伝えた。
バイルス選手は、7月27日の体操女子団体決勝で、跳馬の後に途中棄権。試合の後に「メンタルヘルスを守るための棄権だった」と明かした。
さらにその後、予選を1位通過した女子個人総合の出場も辞退した。
リオオリンピックで5つのメダルを獲得するなど、数々の功績を残してきたバイルス選手。
東京オリンピックでの活躍も期待されていたが、多くの人たちがメンタルヘルスを優先したバイルス選手の勇気を讃え、決断を支持した。
バイルス選手は7月29日、Twitterに「たくさんの愛とサポートが寄せられて、私は自分が、これまで残してきた功績や体操選手以上の存在なのだと気づくことができました。これまでは、そう信じられなかった」とつづった。
アスリートが大舞台で感じる重圧
オリンピックのような大舞台では、期待がアスリートにとっての励ましになる一方で、重圧に感じる時もある。
バイルス選手もInstagramで「世界が肩にのしかかってくるような重みを感じています」と心情を吐露していた。
バイルス選手の発言を聞いて、「自分も同じように感じてきた」と声をあげたアスリートもいる。
オリンピックで23個の金メダルを獲得した水泳界のレジェンド、マイケル・フェルプス氏は、バイルス選手が感じてきた重圧を知って「心が張り裂けそうだった」という。
フェルプス氏はNBCのインタビューで「シモーンが言ったように、私も世界が肩にのしかかってくるような重みを感じて、すごく苦しかった」と振り返った。
また元体操選手のドミニク・モセアヌ氏も、14歳で出場した1996年アトランタオリンピックの画像をTwitterに投稿。
この時に、怪我を抱えながら競技をしなければいけなかったことを明かし、「シモーン・バイルスの決定は、私たちは自分の健康について発言する権利があるということを示してくれました。それは私がオリンピアンだった時に、感じられなかったことです」と、健康を優先したバイルス氏の決断に感謝した。
また、アメリカ体操連盟も「私たちは心からシモーンの決定をサポートし、健康を優先した彼女の勇気を讃えます。彼女が示した勇気から、なぜ多くの人が彼女をロールモデルと考えているのかがわかります」と、バイルス氏へのサポートを表明している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。