去年も言われていたような気もするけれど、2015年は「格安SIM元年」と言われている。昨年6月に総務省が方針を固めた携帯電話の「SIMロック解除義務化」が、いよいよこの5月から開始されたからだ。
これを受けてNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの主要3社は、5月1日以降に発売された端末において、購入から半年経過したものであれば、SIMロック解除に応じる意向を発表した。SIMロックを解除することにより、スマートフォンをSIMロックフリーの端末として利用できるようになる。
そもそも「SIMロック解除」ってなに?
SIMロック解除――そう言われてもピンとこない人もいるかもしれないので、30秒で解説しよう。
■SIMカードってなに?
利用者の電話番号、識別番号などの情報を記録したICカードのこと。
■ SIMロックってなに?
特定の携帯電話事業者あるいは利用者のSIMカードを挿し込んだ場合のみに動作するよう、端末に設定を施すこと。
■ SIMロック解除ってなに?
携帯電話事業者が販売する携帯電話について、販売時点からSIMロックを設定せずに販売すること。あるいは、SIMロックされた端末の販売後に、その設定を無効化(SIMフリー化)すること。
メリット1、好きな端末と通信事業者が選べる
SIMロック解除によりSIMフリー化された端末は、好きな通信事業者のSIMカードを挿して利用できるようになる。たとえば、携帯電話事業者を変える場合に、これまでは端末を新たに購入する必要があったが、今後は手持ちの端末のSIMロックを解除して、そのまま利用することができるようになるのだ。
対応する通信方式は、端末と通信事業者によって違いがあるため、確認する必要がある。通信方式は各社のWebサイトで、機種ごとに案内している。
メリット2、毎月の料金が安くなる
話題にあがることも増えてきた格安SIM。実際に提供されているサービスは、「楽天モバイル」や「OCN モバイル ONE」、「IIJmio・みおふぉん」などがある。これらは、大手キャリアが提供しているものよりも、毎月の料金を安くできるのが魅力だ。
最近は、電話番号はそのまま乗り換えできる"MNP"に対応している音声通話機能付きの格安SIMのサービスが増えてきた。「いっそ、キャリアを解約して格安SIMに乗り換えよう」という声も多く聞かれるようになった。
手持ちのスマホをSIMフリー化し、格安SIMと組み合わせて利用すれば毎月の料金をグッと安く抑えることができるのだ。
料金が安いってことは品質が悪いんじゃないの? と思われがちだが、通話品質や通信エリアは、大手キャリアと同じように利用できる。なぜなら格安SIMと呼ばれているサービスのほとんどが、実はNTTドコモやKDDI(au)の通信回線を借り入れて提供されているサービスだから。
ちなみに「楽天モバイル」や「OCN モバイル ONE」、「IIJmio・みおふぉん」は全て、NTTドコモの通信回線を利用したサービス。中身はドコモと同じだと考えれば"格安SIMだから"という心配はなくなるだろう。
どのくらい安くなる?
では、実際にどのくらい安くなるのか。ここでは、NTTドコモと楽天モバイルで比較してみよう。
たとえばNTTドコモで、通話定額と毎月5GBの高速通信が利用できるプラン「カケホーダイ+データMパック(5GB)」を契約した場合、月々の利用料金は7700円(税別)。一方、楽天モバイルは、音声通話機能付きで、ドコモのデータMパックと同じ5GBが利用できるプランの場合は2150円(税別)。同じ通信量で、料金は5000円以上の差がでる。
ただし、楽天モバイルの場合、通話定額は利用できないため、電話をかけるたびに通話料金(20円/30秒)が別途かかる。ここは人によって差が出る部分だが、日頃あまり通話をしない人や、LINEなどの無料通話アプリを利用している人、また通常の半額程度の電話サービス(楽天でんわなど)を利用している人であれば、そう高額になることもない。
ドコモから楽天モバイルにMNPすれば、同じ電話番号、同じ通信品質で、約3分の1の料金に抑えることができるというわけだ。毎月支払う携帯電話料金を抑えることで、みんなのお財布に好影響であることは言うまでもない。
SIMロック解除の手続き方法と条件は?
SIMロック解除の手続きは、直接キャリアショップに持ち込み、手数料3000円(税別)を支払うことで応じてもらえるほか、Webサイトでも申し込める。下記の表にある通り、主要3社のSIMロック解除の手続き方法や、条件は、微妙に異なる。
知らなきゃ損。半年待たずに、格安運用する方法とは?
上の表を見てもわかる通り、主要3社では購入から半年以上経たないと、SIMロックは解除してもらえない。なんだかんだ時間がかかるのだ。残念に思われた人もいるかもしれないので、ここで半年待たずに、いますぐ格安SIMに乗り換える方法を紹介する。
それは、「今と同じ通信網を利用した格安SIMを選ぶ」こと。
たとえば、いまNTTドコモの端末を利用している人なら、同じくNTTドコモの通信網を利用したサービス(楽天モバイル、IIJなど)を選ぶこと。また、auの端末を利用している人なら、同じくauの通信網を利用したサービス(UQ mobile、mineoなど)を選べばいい。
実はこれだけで、SIMロックを解除しなくても、手持ちの端末にSIMカードを挿し替えて利用できるのだ。格安SIM事業者の多くは、動作確認済みの対応機種一覧をWebサイトで案内している。乗り換えの際、事前にチェックしておけば安心だ。
このほか、格安SIMの事業者がSIMカードとスマートフォンをセットで提供しているサービスも存在する。「手持ちの端末にこだわらない」、「新たに購入することもやぶさかではない」という人なら、そうした選択もアリだ。
今日から格安SIMに乗り換えるには?
電話番号はそのまま、格安SIMにMNPするためには、主要3キャリアと違い、通常は申し込みから開通までに数日かかる。日数は事業者によって異なるが、2〜3日の間SIMカードが機能しないため、携帯電話の通話が利用できなくなる。SIMカードを抜いた状態でもWi-Fi通信はできるけれど、数日間、通話ができないというのはどうだろう? ちょっと不安に思う人もいるかもしれない。この点が大手キャリアとの違いで、格安SIMサービスにとっての壁でもある。
しかし一部、MNPも即日開通の手続きを受け付ける窓口を設けている事業者がある。楽天モバイルやIIJ、U-mobileなどがそれにあたる。今はまだ設置場所が少ないものの、今後全国に増えていくとみられる。
楽天モバイルは、楽天カフェの店舗内でMNPの即日開通の手続きができるカウンターを設けている
格安SIMに乗り換える人が多くなってきているが、今回の「SIMロック解除義務化」がさらなる追い風になりそうだ。キャリアの高額な利用料金を、毎月払い続けるのは、なんだかもったいない。いまこそ格安SIMへの移行を検討してみては?
【まとめ】「SIMロック解除義務化」おさえておきたい4つのポイント
1. 手持ちのスマホを"SIMフリー化"できる
2. 携帯電話事業者を変えるとき、端末を買い直さなくても良い
3. 格安SIMへの乗り換えで月額料金が安くなる
4. 実は、SIMロック解除しなくても格安SIMに乗り換えられる