よほど悔しかったのだろう。平昌オリンピック・アイスホッケー女子の決勝戦で、アメリカに破れたカナダチームのジョセリン・ラロック選手は、表彰式で首にかけられた銀メダルをすぐにはずして左手で握りしめた。
「カナダのジョセリン・ラロック選手、かけられた銀メダルをすぐに外す」
カナダの新聞グローブ・アンド・メールによると、メダルを外したラロック選手を見たアメリカチームのファンの中には「メダルをつけろよ」と叫ぶ人もいたが、同選手が表彰式で再びメダルをつけることはなかった。
しかし表彰式の後、更衣室に向かうラロック選手に国際アイスホッケー連盟の担当者が歩み寄り、「"法的"な理由から、銀メダルを外してはいけない」と忠告したと同紙は伝える。
銀メダルをすぐに外した理由を聞かれたラロック選手は「耐えられなかった。私たちは金メダルをとるためにここにきたから」と答えている。
ラロック選手の行動には、Twitterで賛否両論が起きた。
「かっこ悪い敗者になったジョセリン・ラロック選手。カナダ人のスポーツマンシップ精神がなくてガッカリした。メダルをもらった途端に首からはずすなんて」
「ジョセリン・ラロック選手が銀メダルをはずしたことを悪く言っている人は、中学校でスポーツをした経験がないんだろう」
「"耐えられない"ってのはわかるけれど、カナダは過去4大会で金メダルをとっているし。もうちょっと謙虚になって、若い女の子たちのお手本になってもいいんじゃないかな」
「ジョセリン・ラロック選手に同情するよ。いいやり方じゃなかったけれど、アイスホッケーのようなチームスポーツの決勝戦だったら、"銀メダルに輝いた"いうよりは、"負けたから銀メダルを手渡された"という気持ちなんだろう。彼女は明らかに打ちのめされていたね」
「スポーツ選手としてみっともない。銀メダルをかけられた途端に外すなんて、ラロックを尊敬する子どもたちの目にはどううつっただろうね。スポーツマンシップをみせるべきだった」
ラロック選手は試合の翌日の23日、表彰台での振舞いについて謝罪した。
「国際オリンピック委員会、国際アイスホッケー連盟、ピョンチャンオリンピック組織委員会、カナダオリンピック委員会、カナダのホッケー、そして何よりチームメートとファンに、銀メダルを外したことをお詫びします」
「あの時、私は試合の結果にとても落ち込んでいて、良い自分が感情に負けてしまった。不敬な態度をとるつもりはありませんでした」
「世界一大きな試合の表彰台に、チームメートと一緒に立てたことは、功績であり感謝すべきことです」
「若い女の子たちのお手本となること、そして国を代表することを真剣に受け止めています。本当に申し訳ありませんでした」
両チームはアイスホッケーのトップを競い合うライバルだ。カナダはこれまで、オリンピック4連覇していて、そのうち3回はアメリカを相手に決勝戦を戦っている。4連覇前の1998年長野大会では、アメリカが金メダルに輝いている。
アメリカチームのロブ・スタウバーコーチはラロック選手について「気持ちはすごく理解できる。両チームの間にはものすごいライバル意識がありますから」と話した。