シリコンバレーの中心的都市であるサンノゼ(人口約100万人)は、今年の秋から、下水を「飲料水レベルに」浄化した上水を供給できる施設を稼働させる。
6800万ドルをかけて建設されたシリコンバレー先進浄水場は、サンノゼとその周辺地域に上水を供給するための施設で、10月に稼働する予定だ。この施設では、すべての水を、処理済みの下水から供給する予定だが、報道によれば、普通の水道の蛇口から出てくる水よりも6倍浄化された水が生成されるという。
「ひとつの例をあげれば、この施設では蒸発残留物(TDS)が40ppmの水を生成できることになっている。これに対し、通常の飲料水は約250ppmだ」と、サンタクララバレー水域を管轄するマーティー・グライムズ氏は米ハフィントンポストに対して語った。[蒸発残留物は、水に溶けている不純物のことで、いわゆる「ミネラル分」も含む。東京都水道局サイトによれば、残留物が多いと苦み、渋みなどが付き、適度に含まれるとまろやかさが出るとされる。日本の水質基準は500mg/L(ppm)で、同局による平成23年の検査結果平均は140mg/L]
非常に浄化されているにもかかわらず、この水が一般の蛇口から出てくることは当面なさそうだ。その代わりに、灌漑や園芸、噴水などの景観管理、工業生産など、下水再生水のごく一般的な用途に使用されるという。
「人々を教育し、われわれがこれまで飲んできた水よりもきれいなレベルまで下水を浄化できるという考え方を理解してもらうには、長い時間がかかる」とグライムズ氏はCBSの取材に対して語っている。
下水を浄化して飲料水を生成する同様のシステムは、カリフォルニア州オレンジ郡ですでに稼働している。この地域は、サンノゼがある州北部に比べて水源に乏しい。サンノゼでも、20年以内に、飲料水として利用する可能性もある、とグライムズ氏は述べた。
[オレンジ郡の施設は2008年1月10日から稼働開始。逆浸透膜や紫外線照射等を組み合わせ、下水道を再利用した飲料水を10万世帯以上に供給する能力がある。なお、シンガポールでも、下水を浄化した「新生水」の利用割合を増やしている]
[Robin Wilkey(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]
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