観光名所に柵を作るべきか

ブータンでは、ツアーオブドラゴンという世界で最もタフな自転車レースが行われました。全長268キロ、高低差が1000メートルあたりから3500メートルに及ぶとてもハードなレースです。このレースの一部分に私は参加をしたのですが、実はこのコースには途中ガードレールがない場所があります。
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シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌AERAの連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。

今、ネパールとブータンを旅しています。毎回思うことですが、こういった発展途上国に来ると彼らのたくましさに感心します。

ブータンでは、ツアーオブドラゴンという世界で最もタフな自転車レースが行われました。全長268キロ、高低差が1000メートルあたりから3500メートルに及ぶとてもハードなレースです。このレースの一部分に私は参加をしたのですが、実はこのコースには途中ガードレールがない場所があります。注意していれば問題ないのですが、高さもそれなりにあるので、落ちてしまえばけがをします。レースの参加者はそういうものだとわかっているので、特に文句も出ませんが、このレースを日本で行うとなるとかなり難しいのではないかと思います。たとえ事前に通達していたとしても、いざなにか起きた時はメディアも含め主催者の責任を問う声が上がる可能性があるからです。

日本のマチュピチュと言われる、竹田城はその景観の素晴らしさから観光客がたくさんきていました。ところが安全面が確保できていないという理由で、ロープで立ち入り規制区域が設けられました。転落の可能性はなくなりましたが、景観は損なわれてしまいました。

アメリカのグランドキャニオンでは、メインの場所以外では柵がありません。そのことによって遠くまで見渡せますし、迫力を感じます。安全柵がないために本当に時々転落者が出るようですが、少なくとも今の段階では柵は作られていません。

完全な安全を求めれば、できないことが増えたり、また景観が損なわれたりします。また個々人が危険に対してあまり敏感ではなくなくなり、余計に危険に対して対処できなくなってしまう恐れもあります。

一方で柵を作らなければ転落をしてしまう人も出て来るかもしれません。東南アジアでは車がほとんどルールと関係なく走っていますが、あまりにも安全を担保するものがない世界では気を配りすぎて疲れてしまいます。

安全のために柵を作るべきか。それとも景観のために柵は作らないべきか。ご意見をお待ちしています。

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Twitter:@daijapan

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