2017年春に大学卒業予定の学生の就職活動は、企業側の選考を2カ月早め、2016年6月からスタートすることになる。47NEWSなどが伝えた。
経団連の榊原定征会長は11月9日、幹部会合で方針を決めた。会社説明会の解禁は3月で従来通りとする。政府や大学との協議後、11月中に指針を決め、会員企業約1300社に順守を求める。
「就職活動の期間が長すぎて学生が学業に専念できない」という大学側や政府の要望で、2016年卒業予定者のスケジュールは変更されていたが、わずか1年で見直すことになった。毎日新聞によると、9日に記者会見した榊原会長は、結果的に学生の就職活動も企業の採用活動も長期化する弊害が生じたと説明した。
だが、経団連の榊原定征会長は9日の記者会見で「学生も企業も採用活動が長期化するなど、さまざまな問題が生じた」と説明した。(中略)経団連が会員企業を対象としたアンケート(回答790社)で80%が「16年か17年での見直しが必要」と答えた。解禁時期が4〜5月では説明会から日が浅く、7月は大学の試験シーズンのため、6月への前倒し方針を決めた。17年の採用活動については、説明会の解禁時期も含め再検討する。
(就活:面接解禁6月前倒し発表 経団連 猫の目に不満も - 毎日新聞より 2015/11/09 21:54)
長期化した背景には、指針が示すスケジュールがすでに有名無実化している実態があるとの指摘がある。
政府の日程繰り下げ要請に応じたのは、経済団体では経団連だけだった。指針は経団連の会員以外に拘束力がなく、2015年に就職活動をした大学生によると、外資系やIT企業などはほぼ従来通りの日程で採用活動を進めた。2014年12月以降に「相談会」「業界説明会」「1日インターンシップ」などの名目で、企業説明会を開く企業も相次いだ。
人材情報企業「ディスコ」の調査では、8月1日時点で65%以上の学生が企業から内定を得ており、優秀な学生を囲い込む「青田買い」の傾向は強まった。毎日新聞は「長期的に採用計画を立てているので、日程が毎年変われば対応できない」と嘆く大手電機メーカー幹部の声を伝えている。産経ニュースは「日程変更が有名無実となれば、混乱のしわ寄せは学生や企業に向かい、日本の産業競争力にも影響する恐れがある」と指摘している。
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