【靖国参拝】「内政干渉だ」「安倍首相、中韓と対話を」の声 世論調査は賛否が拮抗

安倍晋三首相の靖国神社参拝が波紋を広げている。中国外務省の報道官が「指導者が安倍首相と面会することはあり得ない」と明言したり、韓国・朴槿恵大統領が「国際社会の普遍的価値にそぐわない行動を繰り返す国は決して一流国家とはいえない」と発言したりするなど、中国、韓国ともに反発を強める。一方、共同通信社の世論調査では安倍首相の靖国神社参拝について「よかった」と「よくなかった」の回答が拮抗...
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時事通信社

安倍晋三首相の靖国神社参拝が波紋を広げている。中国外務省の報道官が「指導者が安倍首相と面会することはあり得ない」と明言したり、韓国・朴槿恵大統領が「国際社会の普遍的価値にそぐわない行動を繰り返す国は決して一流国家とはいえない」と発言したりするなど、中国と韓国は、ますます反発を強める。一方、共同通信社の世論調査では安倍首相の靖国神社参拝について「よかった」と「よくなかった」の回答が拮抗。ハフィントンポストでも「内政干渉だ」「中韓と対話の機会を」「機が熟していないうちにやっちまった」などとする意見が寄せられている。

■中国「安倍首相をブラックリストに載せるべき」

中国外務省の秦剛報道官は12月30日の定例会見で、安倍首相の靖国参拝について「正当な道理や正義に対する傲慢で狂気じみた挑戦だ。このような日本の指導者を中国人民は当然、歓迎しない。中国の指導者も、会うことはできない」などと述べ、首脳会談を拒否する方針を示した。

秦報道局長は、安倍首相が参拝後に「(中韓側に)直接説明したい」としていることについて「首相は中国の断固たる反対を押し切って参拝し、中日間の政治基礎を破壊した」と改めて参拝を批判。その上で「首相自らが対話のドアを閉じた。そんな指導者を中国人民は歓迎しない。中国の指導者も面会することはありえない」と語り、昨年9月の日本政府による尖閣諸島(沖縄県)国有化以降、実現していない日中首脳会談が、首相の靖国参拝でさらに実現困難になったとの見方を強調した。

(朝日新聞デジタル「安倍首相との面会『あり得ない』中国外務省が明言」2013/12/30 20:36)

中国国内では、安倍首相を入国禁止のブラックリストに載せるべきだとの主張もある。来年、北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、入国を拒否する可能性について、秦報道官は「APECの関係規定や慣例に照らして処理する」と述べ、否定も肯定もしなかった。

(MSN産経ニュース 「中国外務省報道官『指導者は安倍首相と会わない』」2013/12/30 18:03)

■韓国・朴槿恵大統領「日本は一流国家とはいえない」

韓国の朴槿恵大統領は12月30日、大統領府幹部会議で、名指しは避けつつも、「国際社会の普遍的価値にそぐわない行動を繰り返す国は決して一流国家とはいえない」と安倍首相の靖国神社参拝などを間接的に批判した。

パク大統領は「『一流国家』の『一流』とは、最高の品格と質を備えることだ。国際社会の普遍的価値、人類の良心にそぐわない行動を繰り返す国は、経済力が大きくても決して一流国家という評価は受けない」と述べて、直接の言及は避けながらも、安倍総理大臣の靖国神社参拝を厳しく批判しました。

そのうえで、「来年には、過去の歴史の傷をえぐり、国家間の信頼を崩し、国民感情を悪化させる行動がなくなってほしいと思う」と述べて、日本を強くけん制しました。

(NHKニュース 「韓国大統領 『日本は一流とはいえない』」2013/12/30 15:47)

安倍首相は12月27日の靖国神社参拝後、記者団に対し、「中国や韓国の人々の気持ちを傷つけるという考えは毛頭ない」と強調。中国、韓国の理解を得るために努力を続けるとし、「(中韓側に)直接説明したい」と述べていた。しかし、中韓との溝は深まるばかりのようだ。

在日アメリカ大使館も「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」とする声明を発表。これについて、ウォールストリートジャーナル日本版は次のように分析する。

バイデン副大統領の国家安全保障担当副補佐官を務めたジュリアン・スミス氏 は米国がこうした反応をした最大の理由について、「関与を続ける米国の能力を帳消しにするものはあってはならない」ことを確認したかったからだと述べた。

スミス氏によると、米国は「真摯な仲介者」とみられることで東アジア地域の各国に関与し緊張緩和を目指す一方、自国の利害が危険にさらされたときには意見をしっかり表明する考えだ。安倍氏の靖国参拝を批判した米大使館の声明からは、米国が「少し踏み込む」必要があると感じていることがうかがえるという。

(ウォールストリートジャーナル「安倍首相が米国に突き付けるジレンマ 」2013/12/29 11:11)

■靖国参拝、「よかった」43%「 よくなかった」47%

共同通信社が28、29両日に実施した全国緊急世論調査では、安倍首相の靖国神社参拝について「よかった」は43.2%、「よくなかった」は 47.1%と意見が拮抗。外交関係に「配慮する必要がある」との回答は69.8%と「配慮する必要はない」の25.3%を大きく上回った。47NEWSは「中韓両国や米国など国際社会が厳しく反応していることに有権者が憂慮している状況が浮き彫りになった」としている。

■「機が熟していないうちに、やっちまった」「思想信仰の自由」などの声

ハフィントンポストの「ヒゲの隊長、靖国参拝報道に疑問 『英文読んだのか』」など安倍首相の靖国神社参拝や各国の反応を報じた記事に対して、賛否両論、様々な意見が寄せられた。

Hiroki N. (rocken)さん
 

私自身は靖国肯定派ではあるが、ヒゲの隊長のこの噛み付きはズレていると言わざるを得ない。概ね国際社会は否定的で、アメリカは同盟国として配慮をしたコメントをしたに過ぎない。

靖国については、機が熟していないうちに、やっちまったという印象だ。別に中国韓国との関係の話ではない。日本国民の覚悟が、まだまだ足りない。

安倍首相の目指す普通の国家ならば、それに見合った種々の痛みを受け入れる覚悟、左派野党の目指す国家ならば本気のアマちゃん思想を実践し、勢い九条を他国に押し付け、またその種々の背反のリスクを受け入れるような覚悟。その他様々あるだろうが。

Tsuguo M. (Mr_Togo)さん

思想、宗教の自由が有るので自由でしょうけど、外交戦略上の意味は何でしょうね、一応首相ですから私人としての行動にもそれなりに国家や国民にに対する責任が有る訳ですから、戦略上意味のある行動だと思いたいですけどね。

toshio_sandoさん

内政的政治パフォーマンスだろう。靖国参拝は安倍首相の靖国参拝支持者への選挙公約と言える。首相就任1年以内に参拝しないと2年目以降の参拝が難しい状況になる。年明けでは通常国会に影響が大きいとの考えだろう。また、特定秘密保護法の強行採決で右派がやや劣勢の立場に置かれている雰囲気がある。その劣勢を挽回するための結束の起爆剤としてこのタイミングは絶妙な戦術とも言える。

G.k. Kodama (KKK_Kodama)さん

韓国がいったいなんの努力をしてきたのかわからないし、どうみて日韓関係はうまくいってない。参拝しないでうまくいってないなら、参拝しても関係なし、と判断するのは当然。

中国に関しても、日本に圧力を強めるだけで、一向に対話が進まないのは韓国と同じで、逆に言うと、中韓の側から一切の融和的態度が出てこなかったことが、この靖国参拝を今行うという動機のひとつになっているといえる。

参拝そのものは、安倍晋三総理個人の信仰であり、宗教信教の自由は、基本的人権の一つであって、憲法はこれを保障するものである。外国(特に人権のない中国のような国)が文句をいう筋合いではないし、公人、政治家であっても、宗教を信じる権利はある。私人としての宗教的儀式の一切を禁止することは、逆に憲法違反だ。死霊信仰(=先祖崇拝)も、日本の神道のなかの一つの考え。一つの信仰。国家神道はすでに存在していないが、思想までを廃止することはできない。

Satoshi Kose (Satoshi_Kose)さん

合祀されている戦犯の存在が問題なのです。

その問題に触れずに参拝するのは、戦略的に落第です。センシティヴィティとセンシビリティの欠落が致命的ですね。

■アメリカ大使館の声明は内政干渉?

アメリカ大使館の出した声明に対しては、「内政干渉」との意見と「釘を刺された」とする意見で割れた。

康也 檜山 (ameibu)さん

私もコメントしたひとりです。我々にとっては「失望」も「残念」も同じだと思ってます。自国のご都合で声明を出したと思われますが靖国は内政干渉、米国側は敏感にこの件で反応すべきではなかった。

Hiroshi Kogaさん

「行動への失望」→「平和と安定への協力の希望」→「過去への反省と平和への決意という首相の表現に注目」という流れは、安倍首相が、言ってることとやってることが違うではないかという認識が米国側にあることを示しています。安倍首相の言い分は分かったから、ならそれを行動で示せ、もう失望させるな、というメッセージです。

つまり、安倍首相は言質をとられたのです。

この問題を内政干渉だというのは、北朝鮮ではないのですから、議論する意味がありません。内政干渉であろうとなかろうと、結果として安倍首相の行動が外交上の国益を損ねているかどうかの問題でしょう。

Hideki M. (papigani)さん

文章の内容よりも、アメリカ政府のコメントとしてすぐさま発表されたことにまずは注意するべきだと思う。そして、内容として注意すべき点はメッセージの冒頭ではない。メッセージの最後だろう。日本語訳は柔らかい表現になっているが、原文を読むと「再度平和の誓いをする時にどのような方法をとるかを監視する」という意味にとれる。意図としては、平和の誓いはよいのだがやり方が問題だと言っているのだろう。毎年靖国神社に参拝するとしている安倍首相の今後の動向が気になるところだ。

■中韓と対話求める声

今後については、中韓と対話の努力を求める声が上がった。

Takayasu Iwasaka (Takayasu_Iwasaka)さん

対話の努力を怠り続けているのは、日中韓の3か国すべてだとも思います。

中韓政府に対しては責任の無い日本国民としては、まず日本の現政府、特に関係を悪化させ続けている安倍氏に、進んで対話の機会を作る責任があると感じます。

靖国参拝後の記者会見で「中国、韓国のリーダーに直接、説明したい」と本人が言及されているのですから、進んで関係修復に向けた行動を実現して頂きたいものです。

※安倍首相の靖国神社参拝や、各国の反応について、引き続き、皆さまのご意見お聞かせください。

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