安倍首相が「イルカ漁」に言及 日本は海外からはどのように見られているのか

安倍首相が「イルカ漁」に関する考えを語った。安倍首相が「イルカ漁」に関する自らの考えを語った。キャロライン・ケネディ駐日大使らのツイッターに、反論した格好だ。
|
Open Image Modal
EPA時事

安倍首相が海外メディアに対し、「イルカ漁」に関する自らの考えを語った。キャロライン・ケネディ駐日大使らのツイッターに、反論した格好だ。安倍首相はCNNのインタビューに答え、イルカ漁については批判があるとしながらも、古来から続く文化であり、慣習として理解してほしいとする考えを述べたという。ダボス会議に出席した際に収録されたインタビュー映像の一部が、同社ホームページに公開されている。

安倍首相は、「太地町におけるイルカ漁については、古来から続いている漁であって、彼らは彼らの文化であり慣習として、また生活のためにとっているんだということを理解をしてもらいたい」と述べた。「それぞれの国には、またそれぞれの地域には、それぞれ祖先から伝わる様々な生き方、慣習というものがある。文化もある。私は当然そうしたものは尊重されるべきものだと思っているが、同時に様々な批判があることも承知をしている」

(CNN「安倍首相、イルカ漁を語る」より 2014/01/24 20:30)

イルカの追い込み漁は、小型鯨類を沖合から湾に追い込んで捕獲するという物で、日本では和歌山県太地町で行われている。2009年に太地町の漁に対して批判的な映画「ザ・コーヴ」が公開されて、国内外で広く知られる事になった。

キャロライン・ケネディ駐日大使は1月18日、イルカ漁について次のようにツイートした。

アメリカ国務省のハーフ報道官は1月21日、アメリカは商業捕鯨を一時停止する「商業捕鯨モラトリアム」にコミットしており、人道的また持続可能性の面からも、日本のイルカ漁に懸念があると述べた。ケネディ駐日大使のツイートについても、アメリカが長い間示してきた考えを表現したものだと言及した。

これらの批判に対して日本側も反論。20日には菅義偉官房長官が、イルカを含む鯨類は重要な資源であり、科学的根拠に基づき持続的に利用すべきと考えているとした。また、菅官房長官は、イルカは国際捕鯨委員会の管理対象外であり、各国の責任で行われていることも指摘。日本のイルカ漁は法令に基づき適切に実施されていると述べ、アメリカ側に理解を求めていく考えを示していた。

日本はイルカを含む鯨類について、他の海洋生物と同様に、科学的根拠に基づき持続可能な利用が図られるべきとの立場を表明している。イルカ漁については、調査に基いて捕獲可能量を算出したうえで、漁を許可している。

しかし、海外からは日本の捕鯨に対して疑問視する考えが出ている。食べるために漁をしているだけではなく、捉えたイルカをアミューズメントパークなどに売っている点も、海外で報道されている。

オノ・ヨーコさんは自身のFacebookに、太地町の漁師の方へとするメッセージを投稿。海外メディアが一方的にイルカ漁を非難していることに対して、心中を察するとしたうえで、それでも、海外がイルカ漁に対して感じていることも、考えてほしいと書いている。

またオノさんは、また、現状のようなセンシティブな状況下においては、イルカ漁が他の国が日本を避難する口実になると説く。祝いの席のために、たくさんのイルカが殺されていることや、動物園に売られるために捉えられることを知れば、世界中の子供たちが、日本のことを嫌うようになるかもしれない。日本のことを理解してもらおうと取り組んできたこれまでの努力が、一瞬で破壊されることにもつながると懸念を表している。オノさんは東日本大震災の原発事故にも触れ、不安定になっている日本の状況を顧みて欲しいと訴えている。

■ハフポストUS版ユーザーの意見

ハフポストUS版で紹介したケネディ駐日大使のツイートに関するニュースには、300を超えるコメントが寄せられた。「イルカを殺すことは人間の子供を殺すことと同様だと考えるべき」というイルカ漁に対する批判もあるが、「イルカのためより、人間の暮らしを心配したい」など、様々な意見が投稿されている。

「イルカ漁に反対する人は“反日”で、日本の伝統文化への侮辱だ」という主張は、単なる無知。イルカ漁は、神々に供えるために子供たちを犠牲したことと同様だということだ。だって過去においてはそれが文化だったんだから。

Richard Whittemoreさん

日本は殺したイルカの肉を公開市場で売る反面、アミューズメントパークにやってくる観光客のために、生きているイルカを売ることもする。そのために、イルカ家族を引き離したり、なかには殺したり、(赤ちゃんイルカを含め)海に戻したりする。大したことじゃないと思わるかもしれないが、イルカは非常に社会性があり、簡単に心に傷を負うんだ。そして、群れから離れると死ぬことだってある。

Fir Lockeさん

イルカではなくもっと人間について心配しようよ。多くのアメリカ人が、動物のために無理な生活をしているんじゃないの。人間が絶滅の危機だよ。

Richard C. さん

人間の中で絶滅の危機に瀕している唯一のものは、知性である。

Hobbes Jdさん

人間は、生き物のためのすべての問題を引き起こすウイルスである。注意をしないならば、我々が地球全体を殺すのは時間の問題でしょう。私たちは、自分自身だけでなく、すべての生き物のために心配する必要がある。私たちは、利己的で、貪欲にお金を求める危機を通過して、進化しなければならない。

EV Emmonsさん

■日本のハフポストユーザーの意見は

一方、ハフポスト日本版の記事には、「伝統文化という言葉を出せば全てが正当化されると思っている」などのイルカ漁に対する批判も投稿されているが、「もっと海外に説明するべき」、「何を食べるかということは、他者に強要されるものではない」などの意見が投稿されている。

一体、食肉用のイルカは日本においてどれだけのニーズがあって、どれだけ欠かす事の出来ない食料となっているのか。さらには、一回の漁での主な収入源は、食肉用としての出荷かそれとも水族館用の生け捕りかなど、伝統を主張するにしてももっと、説明してもいいのではないか。

Masaru I.さん

「伝統文化」この言葉を出せば全てが正当化されると思っている。

「イルカ猟」食用肉が十分流通している日本では必然性がないと私は考える。

Toshio Sandoさん

CNNで、日本人がイルカ漁をしている映像を見たが、残虐極りない殺し方で、許しがたい行いだと涙が溢れた。キャロラインさんのツイートには、大いに賛成である。一刻も早く、あんな残虐な行為を止めさせて、イルカたちを生かしたいと切なに思うからだ

あゝ 人間たちよ…これだけ食べ物が溢れている時代に、伝統だからと言って、なぜ必要以上に野生動物を獲るというのか?

Haruyoさん

私自身は自分で捌けないものは食べない主義である。いくら自らが生きるためとはいえ、他者の命を「いただく」という行為においては自らの手で捌き、その命を残らず頂くということが、殺生におけるほんのわずかな合理性であると思うからだ。

 

しかし、それは決して他者に強要するものではなく、原則的には全てが自由であると考える。何を殺して何を食べるかはそれぞれが置かれた環境によっても異なるからだ。

 

しかし、一方で市場社会においてはお金さえ支払えば何を食べても自由あるという考え方が「正論」とされているが、果たしてそれでいいのだろうか。家畜を与える穀物を直接人間が食べれ飢餓はなくなるとも言われている。

 

大使の食における「生命観」も一度聞いてみたいものだ。

Koichi Tsujieさん

■CNNの安倍首相の記事に、海外のユーザーの反応は

安倍首相のインタビュー記事は、英語版CNNでも掲載されており、既に100件近くのコメントが寄せられている。

それらのコメントには、「文化的伝統の形を装った動物虐待を尊重しない」、「入江に追い込んで弱らせてから殺すなんてひどい」、「1969年に始まったものが伝統なの?」などの批判もあるが、「日本のイルカ漁に文句を言うなら、私たちは牛、豚、鶏を殺すのを止める必要がある」、「インドは牛を食べないが、アメリカを批判しない」などの意見がある。

なお、CNNは安倍首相のインタビューを、26日に放映する予定だという。