安倍首相、バンドン会議の演説に"お詫び"なし 韓国メディア「我が国の外交の失敗」

安倍首相がバンドン会議で演説。第2次世界大戦への反省を表明した一方でお詫びには触れなかった。この演説に海外メディアからは「弱々しい」「韓国外交の失敗」などの声が出ている。
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EPA時事

安倍晋三首相は4月22日、インドネシアで開かれているアジア・アフリカ会議(バンドン会議)で演説した。第2次世界大戦への「反省」を表明した。一方で「お詫び」には触れなかった。この演説に対して、海外メディアからは「弱々しい演説」との指摘や、「韓国外交の失敗」などの懸念の声が出ている。

安倍首相は、60年前のバンドン会議で採択された平和十原則のなかから、「侵略、武力行使によって他国の領土保全や政治的独立を侵さない」「国際紛争は平和的手段によって解決する」の2つを引用。その上で、「バンドンで確認されたこの原則を、日本は先の大戦の深い反省と共に、いかなるときでも守り抜く国であろうと誓った。この原則の下に平和と繁栄を目指すアジア・アフリカ諸国の中で、その先頭に立ちたいと決意した」と述べた

しかし、「心からのお詫び」などの文言はなく、また、小泉元首相が2005年に演説した際に使った「いかなる問題も、武力に依らず平和的に解決するとの立場を堅持」などの言葉は見られなかった。代わりに、「法の支配が、大小に関係なく、国家の尊厳を守る」「世界に向かって強い結束を示さなければならない」などの表現が使われた。

■世界から注目が集まった安倍首相の演説

今回のアジア・アフリカ首脳会議は、1955年4月、当時のインドネシアのスカルノ大統領の呼びかけで、反植民地主義を掲げて開催されたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の開催から60周年を記念して行われた。この演説を巡っては、8月の終戦記念日に合わせて発表する戦後70年の首相談話(安倍談話)の「原型」になるとの見方もあり、歴代の首相談話の内容に、どの程度触れるのかに注目が集まっていた。

これまでの首相談話では、1995年に当時の村山富市首相が発表した戦後50年談話(村山談話)が、日本軍のアジア諸国への植民地支配と侵略を認め、アジアの人々に「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ち」を表明。戦後60年の2005年には、小泉純一郎首相(当時)が村山談話をほぼ踏襲した「小泉談話」を出し、「改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する」とした。

これらの談話について、安倍首相は4月20日、BSフジの番組に出演した際に「植民地支配と侵略」「心からのお詫び」などの文言を使うかどうかを問われ、これまでの首相談話を引き継ぐとしながらも、「同じことを入れるのであれば談話を出す必要はない」と述べていた。

■安倍首相の演説の演説を海外はどう報じたか

この安倍首相の演説に対し、ロイターは安倍首相が「強い者が弱い者を力で振り回すことは断じてあってはならない」と述べたことを挙げ、中国の明らかな軍備増強を意識した発言だと報じた。AFP通信は「日本の首相は第2次世界大戦について反省を表明したが、詫びるのはやめた」との見出しで報じた。記事は、安倍首相のことを「国家主義者」とした上で、この演説が小泉氏のものと違って「弱々しい」と指摘した。

聯合ニュースは「バンドンで期待を裏切った」との見出しのついた記事で、安倍首相の演説が「残念なレベルに留まった」と批判した。記事は、「アメリカのメディアも安倍首相に対し歴史認識について反省を促しているが、安倍首相の“マイ・ウェイ”は続いている」と表現した。

しかし、一方で、「韓国政府はアメリカを通じて安倍首相に対し圧力をかけ続けているとしているが、安倍首相に変化はない」とした上で、「アメリカに、日本へ真の反省と謝罪を促す役割ができないなら、韓米関係にも悪影響が及ぶ」「歴史問題では進展が得られず、外交の失敗との懸念も出ている」とも指摘している。さらに、安倍首相と習近平・中国国家主席の日中首脳会談が実現することにも触れ、「韓国だけ外交で疎外されているではないかという観測も出ている」としている。

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