将来の国産ステルス戦闘機の試作機となっている「先進技術実証機“ATD−X”」(通称・心神=しんしん)が 2016 年2月に初飛行することがわかった。防衛装備庁の関係者が1月22日、ハフポスト日本版の取材に対し、明らかにした。防衛装備庁は1月28日、三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所(旧・名古屋航空機製作所=名航)の小牧南工場で、心神を報道陣にロールアウト(お披露目)する。
この防衛装備庁の関係者は「報道陣へのロールアウト後、機上試験や地上滑走試験等を踏まえて、2月中旬以降に初飛行を実施することになる」と述べた。ロールアウトは小牧南工場の格納庫の中で、心神を固定したまま実施するという。
先進技術実証機の5分の1の大きさのスケールモデル(縮小模型)
心神は、ステルス戦闘機(F3)を日本の技術で開発する可能性を探るため、防衛省が1995年度からエンジンの研究を始めるなどして、開発を進めてきた試作機。近代日本画壇の巨匠である横山大観が、富士山を日本の「心神」と呼んでおり、名称には「日本の魂」という思いが込められている。
心神は試作機とはいえ、事実上の「日の丸ステルス機」の第1号。主契約企業の三菱重工業は、戦前に名航で零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を生んだ。それが今、名航の小牧南工場で、アビオニクス(航空機搭載の電子機器)や電装についてのデータを取るなどして、様々な試験を重ねてきた。心神はゼロ戦と同様、名航で誕生するわけであり、その意味で「ゼロの遺伝子」を受け継いでいるといえる。
心神の初飛行は2014年中に行われる見通しだった。しかし、エンジンが停止した時に再始動させるための改修作業をしたため、遅れが生じてきた。初飛行は小牧南工場に隣接する小牧空港で行われる。
心神は、F2戦闘機の後継機となる将来の「第6世代戦闘機」F3の生産に向けたプロトタイプ(研究試作機)である。つまり、防衛省は、心神をF35といった「第5世代戦闘機」と呼ばれる現在のステルス機の上を行く、「第6世代戦闘機」のカウンターステルス機の礎にすることを目指している。
心神の特徴は、優れたステルス性と機動性にある。敵レーダーに探知されずに敵を捕捉できる高いステルス性能、耐熱材料、先進アビオニクスなど、日本が誇る高い技術を活用した高運動性を武器とする。
- ゼロ戦が再び日本の空を舞う。里帰りした機体が初飛行(画像集)
- 海上自衛隊の最新鋭艦・いずもの内部に入った
- ゼロ戦が帰ってきた。1月27日にテスト飛行、国内初の動態保存へ
- 「かが」と命名。いずも型護衛艦の2番艦、空母と同じ名前に(画像)
- 「いずも」就役 史上最大の護衛艦「ほとんど空母」(画像集)
- 国産ステルス戦闘機、試作機の初飛行は2015年1月
- ステルス戦闘機F35、出火事故受けて飛行停止 米国防総省発表、日本は42機購入の予定
- 安倍内閣が「紛争国への武器輸出」を解禁する素案 F35部品のイスラエル輸出を念頭
- 韓国が次期戦闘機としてF15を不採用 アメリカ軍縮の影響は他国にも
- 戦闘機の墓場から、安らかに眠る戦士たちの息づかいが聞こえる(画像)
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー