博多―小倉駅間を走行中の山陽新幹線「のぞみ176号」が接触事故を起こし、1人が亡くなった件で6月15日、JR西日本の平野賀久副社長が記者会見し、事故対応の不十分さを謝罪、経緯について説明した。
振動感じるも走行続ける
平野副社長によると、事故の経緯は次のようなものだった。
6月14日午後2時5分ごろ、「のぞみ176号」の運転手が、ドンという、何かがぶつかる音を聞いた。当時200人が乗車していた。
その後、小倉駅ですれちがった新幹線の運転手から総合指令所に連絡があり、指令所が176号の運転手に連絡を取り、臨時停車する旨の指示を出した。
小倉駅の駅員も、停車中に前頭部が破損していると「違和感を感じた」(平野副社長)が、「血のりらしきものを認めたが、何度か見たことがあり、大きな異常とは思わなかった」ので、指令に連絡をしたのは176号が小倉駅を発車した後だった。
指令所の指示を受け、本来の停車駅ではない、新下関駅で停車し、点検。すると先頭車両の「前頭連結器カバー」が壊れているのが見つかり、さらに、その内側から遺体の一部らしきものがカバーの中から見つかったという。
カバーが破損した状態で、しばらく走行を続けたことになるが、その危険性は「そんなに重量がなく、プラスチック素材なので、ただちにあの状態で危険というわけではない」と平野副社長は述べた。
どうやって高架橋に入ったのか
JR西日本の調査によると、人と接触したのは、小倉駅まで約17キロ手前の石坂トンネル付近だった。
事故が起きた付近は、道路と交差する高架橋になっており、接触した男性は「点検用の足場を伝って新幹線の高架橋に上がっていったと考えている」(平野副社長)。
ぶつかった男性は、このはしごを伝った後、線路にあがる階段を上り、高架橋の壁を乗り越えて線路付近に行き着いたと考えられている。
この足場のはしごは、地上から3メートルほどのところにあり、「簡単に上れないよう、普段はカバーが掛けられており、通常の方では容易に上にのぼれないように考えている」(平野副社長)という。