私の人生で初めて好きになったアイドル、それが東方神起だ。
韓国語を勉強し始めたのは、東方神起が話していることを知りたかったから。
大学の専攻や問題意識、韓国への留学など、東方神起がきっかけをつくってくれたと言っても過言ではない。
東方神起のユンホとチャンミンは12月19日、日本テレビの「スッキリ」に登場した。だが、その表情は固かった。
常にエネルギッシュなはずの、彼らから、普段の輝きが感じられない。
いつもは笑顔を絶やさない2人が、真顔で手を前に組んで立っていた。全身黒ずくめの衣装だ。
身振り手振り、時には冗談を交えながら話すいつもの2人は、そこにはいなかった。
チャンミンは肩をすっかり落として、言葉を絞り出すように話す。
きっと、2人の頭の中には12月18日に亡くなったSHINeeのジョンヒョンのことがあったに違いない。
先輩と後輩
東方神起は、SHINeeと同じ事務所「エスエム・エンタテインメント」に所属し、直接の「先輩」に当たるグループだ。
韓国のアイドルグループには「練習生制度」という下積み制度がある。アイドルになりたい人は中高生で練習生になり、長いと7〜8年は先輩の活躍を見ながら、「デビュー」を待つことになる。
SHINeeは2008年デビュー。メンバー5人は、東方神起の背中をみつめながら育った世代だ。
SHINeeがデビューし、ケーブルテレビが主催する音楽賞の新人賞を取った際、彼らは東方神起の曲を踊り、歌った。それを見守る東方神起のメンバーたちの目は、まるで我が子を見つめる親のような表情だった。
東方神起を好きになったことから、SHINeeの存在を知り、彼らのパフォーマンスに惚れ込んだ。
日本デビュー時には、CDを買いに走った。雑誌やテレビ番組の露出も見守ってきた。
そうやって見てきたジョンヒョンが、きのう、亡くなった。
兄と弟
「スッキリ」で、ジョンヒョンが亡くなったという話題をふられたチャンミンは「そうですね、あの...」と切り出すと、空を仰いだ。
そして、「弟のような、存在で、才能の溢れるアーティストだったんですけど、言葉にするのがちょっと難しいんですね」とぎこちなく答えた。
ユンホも硬い表情を崩さない。そして、伏し目がちにこう話した。
「すごく今も複雑な心境で、信じられないんですけど、この番組が終わったら、ちょっと、見送りに行ってこようと思います」と硬い表情で答えた。
それでも、生きよう
東方神起のこれまでの道のりを振り返ると、決して平坦ではなかった。
人気絶頂期にメンバーの脱退と活動休止、後輩グループの追い上げを背に感じながら兵役で空白期間を経た。
ついに活動を再開した矢先に、かけがえのない後輩の死を経験した。彼らの苦痛は、計り知れない。
それでも、兵役から2年ぶりに芸能界に戻ってきた2人は、再起を誓う新曲「Reboot」をしっかりと歌い、踊りきった。
"We can make it, make it over time"
「きっとうまくいく、うまくいくよ、そのうちにね」
辛くてもいい。それでも、今日を、明日を懸命に生きよう。
東方神起の2人はそうやって、パフォーマンスで自分たち自身を、そして全てのファンたちも、勇気づけてくれた。
すぐには折り合えない。けれど、ちょっとでもそう思わせてくれた2人にお礼が言いたい。
大好きだった人が亡くなって、ひどく落ち込んだり、気持ちがふさぎ込んだりして、いつもの気持ちが保てなくなったーー。
そんな時は、次のところに相談してください。
厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(全国共通)
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