安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)をめぐり、週刊文春オンラインが6月28日、自民党の下村博文幹事長代行を支援する政治団体「博友会」が同学園から「200万円の違法な献金を受けた疑いがある」と報じた。これを受けて下村氏が29日に記者会見し、「記事は事実無根」と疑惑を否定した。
週刊文春「加計学園から闇献金200万円」と報じる
週刊文春デジタルはは29日、「下村博文元文科相〈安倍最側近で都議選の司令塔〉『加計学園から闇献金200万円』内部文書入手」とのタイトルの記事で、下村事務所の内部資料とするデータを公表。
同誌は2013年と14年、加計学園が下村氏の後援会「博友会」の政治資金パーティー券を計200万円分を購入したが、政治資金収支報告書に記載しておらず、政治資金規正法違反の疑いがあると指摘している。
政治資金規正法では、政治団体は20万円超のパーティー券の購入があった際に報告を義務付けられているが、週刊文春デジタルは「政治資金収支報告書への記載がない」とし、違法の疑いがあると指摘している。
「博友会」をめぐっては2015年、各地の同団体が会員から集めた年会費の一部などを下村氏が代表を務める自民党の支部に寄付をしたのは政治資金規正法違反にあたるとして、市民団体「政治資金オンブズマン」メンバーらが下村氏らを刑事告発していたが、東京地検特捜部は2016年11月、下村氏らを不起訴とした。
下村氏は現在、自民党の幹事長代行と党都連会長を務めている。
下村氏「事実無根」と全面否定。一方でパーティー券については…
下村氏は29日午前、自民党本部で記者会見し、「加計学園から政治寄付もパーティー券を購入してもらったこともなく、『加計学園から闇献金200万円』という記事は事実無根」とし、疑惑を全面的に否定した。
その上で、週刊文春が報じた内部資料は元秘書が持ち出した可能性が高いとし、「現在、都議会議員選挙の終盤に入る大事な時期。事実に反する記事が大事な時期に掲載されること自体、選挙妨害目的だったと受けざるをえない」と不快感を示した。
違法献金疑惑を週刊誌に報じられたことを受け、記者会見で元秘書の上申書を示す自民党の下村博文幹事長代行=29日、東京・永田町の同党本部
一方で、不正献金の疑惑がもたれた200万円分のパーティー券については、「2013年と14年、加計学園の秘書室長が下村事務所を訪れ、計11の個人・企業から預かってきた各100万円ずつを持参した。1人・1社20万円以下で、それぞれ領収書を渡した」と明かした。
下村氏は「加計学園からパーティー券の購入をしてもらったものではない」「(秘書室長が)窓口になって、いろんな方々にお願いして、加計学園以外の11人の個人や企業からいただいたと(当時の)日報に書いてある」とした。
週刊文春は「加計学園以外にも報告書に不記載のケース」と指摘
週刊文春デジタルはパーティー券について、他にも「収支報告書に記載されていないケース」があると指摘している。
同誌によると、大手予備校の「東進ハイスクール」などを運営する「ナガセ」の永瀬昭幸社長が2012年9月25日、50万円分のパーティー券を購入しているが、博友会の政治資金収支報告書に記載されていないとしている。
大手予備校の「東進ハイスクール」などを運営するナガセの永瀬昭幸社長。一二年のリストによれば、永瀬氏は九月二十五日に五十万円分を購入している。ナガセに確認すると、
「ご指摘いただいた通り事実でございます」
(《激震スクープ》下村博文元文科相〈安倍最側近で都議選の司令塔〉「加計学園から闇献金200万円」内部文書入手:週刊文春デジタル より 2017/6/29 05:00)
これについて下村氏は会見で、「他の教育機関が購入したとするパーティー券購入については、事実関係を確認する」すると述べた。
報道陣からは、「政治資金規正法では、とりまとめをしてパーティー券をあっせんすることは違法性に問われる可能性もある(※1)。『(パーティー券の購入が)複数人であったが、違法ではない』といは言えない。購入者の氏名を公開し、検証させてほしい」といった声があがった。
これについて下村氏は、「別々に領収書を切っているが、20万円以下(のパーティー券代金)については政治資金規正法では名前を出さなくていいということもあるが、プライバシーの問題もあるので確認については努力したい」と述べた。
【※1 編集部注】政治資金規正法では、パーティー券のあっせん額が20万円を超えると、あっせん者の名前とあっせん額を政治資金収支報告書に記載しなければならないと定めている。
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