統幕10周年、八木先生陶芸展など

「遅きに失した」のではなく、「遅かったが、失してはいない」となるべく、今後とも微力を尽くして参ります。

石破 茂 です。

衆議院予算委員会は地方公聴会も終わり、今週も淡々粛々と進みました。年度内の予算案成立に向けて、今後ともひたすら丁寧に審議に臨まなくてはなりません。

毎週のことですが、週末が近くなると永田町、特に議員会館近くでの街頭宣伝活動が活発になります。憲法に保障された言論の自由に基づく活動は、民主主義の維持発展のためにも望ましいことと思いますが、主義主張の如何を問わず、その情熱と時間を活かして一人でも多くの人を説得し、共感を得、支持を増やしていくためには、さらに内容と手法において工夫の余地があるのではないでしょうか。

三年半の野党時代、自民党は盛んに街頭活動を行ったものでした。野党転落直後は街の反応も冷たく、聴衆もそれほど集まっては頂けませんでしたが、それでも雨の日も風の日も新橋や有楽町で必死に訴えたものでした。

自民党の新人議員教育が問われていますが、一番効果的な教育は、街に出て直接市民に訴えることではないかと思うのです。何を、どのように訴えれば人が足を停め、頷いてくれるのか、それを会得することは政治に携わる者にとって大きな財産になるはずです。

政権復帰後、それが少し疎かになってはいないか、幹事長時代の反省を込めて、そのように思います。

先週土曜日、福岡市で開催されたジビエサミットで講演して参りました。今週土曜日のベンチャーサミットもそうですが、「○○と地方創生」というタイトルでの講演はその都度大いに悩みます。

○○が自分の得意な分野ならいいのですが、あまり知識のない分野で大臣として講演する際には正直、私もスタッフも準備に大変な時間と労力を費やします。地方創生の本質は国民の意識改革であり、国民的な運動にまで高めていかなくては成功することはないのですから、私自身、一層の努力をしなくてはなりません。

17日水曜日、防衛省で開催された統合幕僚監部創立10周年記念式典で来賓としてスピーチをして参りました。それまで陸・海・空がそれぞれに運用を行っていたものを一元化するという、極めて当然のことが長く行われていなかったこと自体が不思議なことですが、ここまでの道のりは実に多難なものでしたし、これからもそれは続いていくものです。

「部分最適の総和は決して全体最適ではない」「『内局と制服、陸・海・空、それぞれが互いを非難し合い、防衛省・自衛隊が一致して非難する対象は政治の無知・無理解や予算査定に厳しい財務省』という責任回避体質を改めよ」などと随分と嫌われることを言いながら改革を進めていた頃のことが脳裏に甦りました。

米国でこのような議論が行われたのは1940年代中・後半のことで、核兵器搭載機を運用可能とする超大型空母「ユナイテッド・ステーツ」の建造を主張する海軍と、これを戦略核の空軍独占の侵害と捉えて建造に反対し、大型爆撃機B-36の開発・生産を主張する空軍との狭間で懊悩した国防長官フォレスタルは、鬱病となり自らの命を絶つのですが、議会での大論議を経て、米軍の統合体制は大きく進化しました。

旧軍時代、「陸海総力を挙げて戦い、余力を持って英米に当たる」と揶揄されたこともあって、自衛隊の前身である保安隊(警察予備隊ではなく)創設時にも似たような議論はあったようですが、陸・海の制服組(空はまだ存在していなかった)、そして内局の反対により、統合運用も統合的能力整備も実現することはありませんでした(創設時に米軍から何らのサジェッションも無かったとすればそれはそれでとても不思議なことですが)。

改革の実現に要した時間は半世紀余、「遅きに失した」のではなく、「遅かったが、失してはいない」となるべく、今後とも微力を尽くして参ります。

今週、中央区京橋で開催されていた八木哲也代議士(比例東海)の陶芸展に行ってきたのですが、3・11の大津波を主なテーマとした作品はどれもとても素晴らしいもので、たまたま会場に来ていた韓国人の女子学生も「日本の政治家には素晴らしい感性の人がいる」としきりに感心しておりました。

芸術の才能があるということは政治家にとってもとても有益なことなのでしょうね。私も幼少の頃、一応ピアノと絵を習ったのですが、あまりの才能の無さに先生からは呆れ果てられ、長続きすることもなくやめてしまい、全くモノになりませんでした。深く恥じ入るばかりです。

週末は20日土曜日が三重県知事・福岡市長との懇談、MIE地方創生ベンチャーサミットで講演(午後2時・四日市都ホテル)、鈴鹿市長・市議会議長他との懇談、鈴鹿商工会議所主催の講演会「地方創生を考える~鈴鹿の未来のために~」で講演(午後3時・鈴鹿サーキット・ホスピタリティラウンジ)。

21日日曜日は地元でいくつかの公務・政務が入っております。

今週半ば以降、都心は一転、冬の寒さが戻ってきた感じでした。今日は少し暖かですが、まだ春は遠いようですね。

皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

(2016年2月19日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)