渋谷区の公立保育園、ICTシステム導入へ。手書きの連絡帳なくし、保育士の負担減らす

東京都内の公立保育所では初めての試み。
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(写真はイメージ)
MIXA via Getty Images

保育園の連絡帳が手書きで負担。そんな風に感じるパパママや保育士も多いだろう。

朝の準備で慌ただしいなか、筆者もなんとか書いている。

そんななか渋谷区が、保護者の利便性向上と保育士の働き方改革を目的として、区内の全公立保育所20園で、保育ICTシステム「CoDMON(コドモン)」を導入する。サービスを展開する株式会社コドモンが12月18日に発表した。東京都内の公立保育所では初めての試みとなる。

コドモンは、スマホやタブレット上で、保護者と保育士が連絡を取ったり、保育士の保育業務が入力ができたりするシステム。2019年1月より段階的に以下の3機能で運用を開始。新学期の正式運用スタートを予定しているという。

1)登降園の時間管理

2)連絡帳

3)お知らせ配信

渋谷区では、2019年以降も新たに9園の保育園を開園を予定しているなど、「保育の受け皿(保育の数)」を増やす待機児童削減を進めている。今回はICTシステムを導入することで、保育士の業務を効率化し「保育の質」を改善する取り組みとなる。

▪️保育ICTシステムでどう変わる?

コドモンを運営する株式会社コドモンの小池義則・代表取締役社長は、「保育士の業務負担を減らしたい。書類業務が多いが、ちゃんとした保育の記録が必要」とICT導入の意義を語る。

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株式会社コドモンの小池義則・代表取締役社長
Kaori Sasagswa

同社は2013年、小池さんが私立の保育園で働く友人に相談されたのを機に請求システムを開発。2014年に小池さんに子供が生まれ、保育士の負担を減らすためのシステムの必要性を実感したという。

「自分の子どもも保育園に通っており、園の先生たちの疲弊は人ごとに思えなかった」

2015年に同サービスを開始。現在、導入園数は2000施設を超える。

「朝、開園時間に(保護者からの)電話が集中する。保育士は、午前の内容しか連絡帳に書けない。事務作業によって、保育士が実際に子どもに接するのは6、7時間になっている。ICTを導入することで、保護者は休みを簡単に申請できるようになり、手書きの連絡帳もなくなる。保育士の働き方改革ができる」

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アプリで「病欠」「都合欠」を選んでクリックすれば保育園の欠席連絡ができる。
Kaori Sasagawa

コドモンの導入により、登園時に保護者がICカードを専用の読み取り端末にかざせば登園情報が入力される。園を休む際も、アプリをクリックすればすぐに連絡でき、朝の電話が不要になる。

また、急な仕事の対応や交通トラブルなどでお迎えの時間が遅れそうなときも、会社や電車内でもアプリ操作で保育園に連絡できるようになる。

ICT導入によって改善されるのは保育士の環境だけではない。同社は将来的には、ICTやテクノロジーを使い保育データを生かして、子供の取り巻く環境を整備していくという。