乳がんと診断された女性、彼に別れを切り出す。彼は断り、プロポーズした

「私は彼女が言ったことには同意できませんでした」

アメリカ・ニュージャージ州出身のジュリアン・ハンソンさんは、25歳だった2017年7月にステージ2の乳がんと診断された。

がんとわかった時、ハンソンさんの頭に真っ先に浮かんだのはパートナーのマックス・アレグレッティさんのことだった。

これから治療などで大変な日々が続く。大学生の時から3年間付き合ってきたアレグレッティさんに、ハンソンさんは状況が深刻化する前に別れようと伝えた。   

しかしハンソンさんの提案は、アレグレッティさんにとって受け入れられるものではなかった。

「ジュリアンは私に、『これから大変な日々が続くし、どうなるかわからない』と言いました。そしてもし耐えられないのであれば今別れて欲しい、と言いました」と、アレグレッティさんはハフポストUS版に語った。「しかし、私は彼女が言ったことには同意できませんでした」

ハンソンさんは、2017年10月から化学治療を始めた。集中治療を受けている間、アレグレッティさんはハンソンさんのそばでパートナーを見守り続けた。

つらい治療を耐えたハンソンさんは、2018年2月28日に化学療法の最後の日を迎えた。アレグレッティさんには、この日やりたいことがあった。

それは、ハンソンさんに結婚を申し込むことだ。

「ジル(ジュリアンさん)の友達や家族と話して、化学療法最後の日を、より最高な日にするための計画を立てました」

病院側にもプロポーズの計画を相談。これが、当日の様子を撮影した動画だ。

ハンソンさんの家族や友人、そして看護師たちに囲まれた中で、アレグレッティさんは指輪を取り出し「ジュリアン・ハンソンさん、結婚してくれますか?」と尋ねた。

予期していなかったプロポーズに「何?ちょっと待って、本当に?!」と驚くハンソンさん。言葉を失い、両手で顔を覆って泣き出した。

ハンソンさんにとって、プロポーズは青天の霹靂だったという。がんと診断される前に、ふたりで結婚の話をすることはあった。しかしがん治療に専念した後は、結婚のことは脇に置かれていた。

「この日は、私にとってすでに特別な日でした。その日にプロポーズなんて。もう本当に驚きました。二つの記念日を祝えたことは、私にとって思いもよらない贈り物でした」 

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プロポーズに、驚き喜ぶハンソンさん
JILLIAN HANSON

治療の間、ハンソンさんができるだけいつもと変わらない日常を送れるよう心がけていた、とアレグレッティさんは話す。

「治療で見た目が変わった彼女が、どれだけ美しい人間かを伝えるようにしました。彼女に喜んでもらいたくて、冬の寒い日に暖かい帽子をサプライズでプレゼントをしたこともありました」

「自宅のソファで一緒に映画を見たりと、これまでと同じように一緒に時間を過ごしました。ただ一つ変わったのは、外に出かける機会が減ったことです」

ふたりとも、結婚式を待ち望んでいた。しかし、治療や検査が続く中で結婚式の計画をし、費用を支払うのは簡単ではなかった。 

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(左)化学治療を受けている時のジュリアン・ハンソンさんとマックス・アレグレッティさん
(右)治療の後、乳がんの資金集めウォークに参加した時の写真
JILLIAN HANSON

2018年10月、ハンソンさんの友人のビアンカさんが、ウェディングのイベントで知り合ったローレン・グレッチさんに、ハンソンさんとアレグレッティさんのストーリーを話したことをきっかけに、事態が急展開する。

ウェディングプランナーのグレッチさんがふたりのストーリーに感動し、無料でサービスを提供すると申し出たのだ。

このことを聞いたハンソンさんは、「こんなに親切な人がいるんだ」と、驚いた。

「結婚式を、無償でやってくれるなんて。本当に素敵な心を持った人たち、夢を叶えてくれる人たちです」

グレッチさんと彼女のチームは、結婚式場やウェディングフォトグラファーなど、他のブライダルサービスの会社と協力して、結婚式のプランを立てた。ドレスのデザインは、ハンソンさんが憧れていたケネス・ウィンストンに依頼した。

「ジュリアンが、ケネス・ウィンストンのドレスを着たがっているのを私は知っていました」

「ケネス・ウィンストンがウェディングドレスをプレゼントする、と私たちが伝えるとジュリアンは泣き出しました。私ももらい泣きしてしまいました」とグレッチさんは振り返る。 

乳がんの告知から2年。2人は2019年10月18日に、ニュージャージー州ティントン・フォールズで友人や家族に囲まれて結婚式をあげた。

ハンソンさんは、これ以上の結婚式はなかったと振り返る。

「一言で説明するとすれば、それは魔法のような時間でした」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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