本日の日経記事で、「シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収提案の検討に入ることで、官民ファンドの産業革新機構が描いた国内企業の再編構想が急速にしぼんでいる。」との記事があった。
経済産業省が所管する革新機構はシャープの液晶をJDI、白物家電とPOS(販売時点情報管理)を東芝、太陽電池を昭和シェル石油とそれぞれ事業統合する青写真を描いていた。鴻海を軸に再建に向け交渉を始めたことで、シャープの事業を解体して国内大手と再編する構想は白紙に戻る可能性が高まった。
とのことだが、 国は主導して企業再編を行うことを目論んでいるようだが、それはあくまで先ずは民間同士が合意の下で行うのが大前提であって、お互いの企業同士が応諾していない再編を行うことは、国の壮大なパワハラに他ならない。
国は高度成長局面での、いとへんから鉄、鉄から石油化学への産業政策の成功を参考にしているようだが、それは当時の日本が今の中国と同じだったからであって、人口縮小、賃金高の中で、国主導で再編を促すのは、経産省のエゴでしかない。
再度申し上げるが、市場の生き残りは、あくまで経済合理性に長けた民間同士の判断に任せるべきであり、その結果、淘汰される企業が出てくること自体はある程度仕方のないことだし、そしてそれが市場が健全である証左だと考えている。
国の役割は競争力を失っていく一企業、産業を存命させるのではなく、そこに雇用されている人間をいかに速く、有望市場にシフトさせるか、その社会保障制度を整備するのが国の仕事だ。
あくまで救うべきは個人であって、企業ではない。
(2016年2月8日「田中博文 Official Site」より転載)
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