災害ボランティアセンター運営に財政支援を。全国社会福祉協議会が国に緊急要望

「毎回財源の裏付けがなく、綱渡りなのが現状」
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清家全社協会長(左)に「社協は災害支援の中核だ」と理解を示す衛藤大臣(右)
福祉新聞

全国社会福祉協議会(清家篤会長)は18日、台風19号など多発する自然災害での被災地支援を継続的に取り組むための緊急要望をまとめた。災害ボランティアセンターの運営に必要な財政支援などが柱で、厚生労働省や内閣府のほか、衆参の厚生労働部会委員にも提出した。 

災害救助法は、災害時の応急的な救助の費用を、国と都道府県が負担すると規定。ただ、対象は医療・助産、避難所の設置、炊き出しなど12種類に限られており、「福祉」は範囲外となっている。

そのため市町村社協による災害ボラセン運営費については、市町村による補助金や、毎年積み立てる共同募金会災害準備金、寄付金頼みとなっているのが実態で、「毎回財源の裏付けがなく、綱渡りなのが現状」(全社協)だという。

実際、昨年7月の豪雨災害では岡山県倉敷市は災害ボラセンの運営費として2億5000万円を負担した。今回の台風19号では、災害ボラセンが98カ所に設置されており、全国の社協が職員を被災地に派遣。今後、多くの自治体に大きな財政負担が重くのしかかるとみられる。

要望書は「被災者の緊急支援を継続的に取り組むためには全国の福祉関係者の協力による緊急支援が必要だ」と指摘。具体的には、災害ボラセンの設置や運営に必要な経費、全国から応援に来る社協職員の派遣費用などの財政支援を求めた。

また、福祉施設専門職による「災害派遣福祉チーム(DWAT)」の派遣に必要な費用や、被災した福祉施設が早期復旧するための費用も盛り込んだ。

 同日、清家会長は武居敏・全社協政策委員長、阿部一彦・日本身体障害者団体連合会長とともに、衛藤晟一・1億総活躍担当大臣を訪れ、「直接サービスを提供するのではなく、プラットフォーム機能を持つのが社協。災害分野でも医療と福祉を並行して議論してほしい」と要望した。

これに対し衛藤大臣は、「社協は災害支援の中核だ。ボランティアの調整機能は社協じゃないと絶対できない」と理解を示した。

 また全社協は同日、加藤勝信・厚労大臣や橋本岳・厚労副大臣、小島敏文・厚労政務官宛にも提出。今後、防災担当の武田良太・内閣府特命担当大臣にも要望書を出す予定だ。