強制性交等罪とは? 性犯罪の厳罰化で変わった5つのこと「男性も被害者」「告訴いらず」【わかりやすい解説】

7月13日に施行された、性犯罪の厳罰化や、被害者の告訴がなくても起訴できるようにすることなどを盛り込んだ改正刑法。どう変わったのか、わかりやすく解説します。
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Defenseless and frustrated woman on the corner besides man legs The photo was postprocessed by increasing contrast, desaturating the color and adding a sepia toning. A strong vignetting was added to increase the strength of the scene. The photo was taken during the Tokyo iStockalypse
mmac72 via Getty Images

性犯罪の厳罰化や、被害者の告訴がなくても起訴できるようにすることなどを盛り込んだ改正刑法が7月13日、施行されました。性犯罪に関する刑法の大幅な改正は、1907年(明治40年)の制定以降初めてで、110年ぶりです。

具体的にどこかどう変わったのか、新旧を比較しながら見ていきましょう。

主な変更点は、次の通りです。

(1)「強姦罪」⇒「強制性交等罪」に名称変更 

暴力や脅迫によって無理やり性行為をする「強姦罪」の名称を「強制性交等罪」に変更しました。名称の変更に伴い、以下のように内容が変わりました。

・被害対象が広がる「女性のみ」⇒「男性も含める」

従来の強姦罪は、被害者は女性のみとされていました。このため、男性が無理やり性行為をされる「強姦」のような被害にあっても、強姦罪は成立せず、適用するとしても刑の軽い強制わいせつ罪止まりでした。今後は強制性交等罪として、女性だけでなく男性に対する性行為のほか、オーラルセックスも処罰の対象になります。

・罰則をより厳しく「3年以上」⇒「5年以上」

罰則を厳しくし、最も短い刑の期間を3年から5年に引き上げます。強制性交等罪で有罪となった場合、最低5年以上の懲役となり、強姦罪と比べてより厳しい刑罰を受けることになります。

(2)「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」を新設

親など監護・保護する立場の人が、その影響力を利用し、18歳未満の子供と性行為やわいせつな行為をした場合に、暴力や脅迫がなくても処罰できるようになります。

わいせつ行為は6カ月以上10年以下の懲役、性行為は5年以上の有期懲役に処されます。

産経ニュースによると、家庭内での性的虐待などを念頭にしており、教員やスポーツ教室の指導者は、原則対象には含まれません。

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条文の新旧比較表

(3)「親告罪」の廃止

従来の強姦罪や強制わいせつ罪などの性犯罪は、被害者本人が加害者への処罰を求める告訴という手続きをとらなければ、起訴できませんでした。この「親告罪」と呼ばれる規定が削除され、全ての性犯罪で告訴がなくても起訴できるようになりました。この変更は、改正刑法が施行される前に起きた事件にも、原則適用されるということです。

罪に問うかどうかを被害者が決める親告罪の仕組みは、精神的負担が大きく、性犯罪が潜在化する一因とも指摘されていました。廃止により、告訴せずに埋もれていた被害が、刑事裁判で裁かれるようになることが期待されます。

その一方で、事件を公にしたくないとう被害者の感情やプライバシーの保護、裁判をする負担などの課題も挙げられます。

(4)強盗強姦罪、刑罰の統一

改正前は、強盗と強姦の両方をした場合、犯行の順番によって刑罰に差が出ていました。時事ドットコムによると、強盗が先だと「強盗強姦罪」として「無期か7年以上の懲役」となる一方、強姦が先なら5年以上30年以下の懲役」の刑が科されていました。

この違いを是正するため、「強盗・強制性交罪」を新設し、犯行の順番に関わらず「無期または7年以上の懲役」に統一しました。

(5)集団強姦罪の廃止

2人以上で強姦した場合に懲役4年以上とする刑罰規定を削除しました。

法務省は改正の理由について、「近年における性犯罪の実情を考慮し、事案の実態に即した対処をする必要がある」としています。

■関連画像集「警視庁犯罪抑止対策本部のツイート集」


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