東京都世田谷区で11月5日、同性カップルの「宣誓」に基づき、パートナーとして認める「パートナーシップ宣誓書」の受付が始まった。保坂展人区長が自ら、区の施設に訪れた5組の同性カップルに受領証を手渡した。世田谷区役所によると、別途2組が宣誓書を提出したため、受領証の交付は初日だけで計7組となった。
世田谷区の要綱によると、20歳以上で双方いずれかが同区に住んでいることや、転入を予定していることが条件。同性カップルの2人が、住所や氏名を記した「パートナーシップ宣誓書」を提出すれば、区長が「受領証」を発行する。宣誓書は10年間保存するが、カップルの双方が望めば廃棄可能だ。法的拘束力はないが、自治体が発行する書類のため、これを見せることで事業者側に配慮が生まれることも期待できる。
渋谷区でも同日、同性カップルに向けた「パートナーシップ証明書」の交付を始めたが、申請には公正証書が必要。このため数万円の費用がかかるが、世田谷区の場合ではカップルの宣誓さえあれば無料で受領証の公布を受けられる。
保坂区長は、同性カップルたちを前に「心から祝福の気持ちを捧げたいと思います。おめでとうございます」とあいさつ。「今日、さしあげたのは1枚の紙です。シンプルな1枚で法的拘束力はありません」とした上で、オランダでも80年代半ばから90年にかけて区や市のレベルで法的拘束力のない取り組みが始まったことが端緒となり、2001年に同性カップルの法改正が実現した例を出した。
その上で保坂区長は「はじめの小さな1歩ですが、その波紋は全国の市町村に広がり、やがては国の法改正の議論につながっていくものと信じます」と展望を語った。
保坂展人区長(左)から受領証を受け取る中川司さん(右)と寺井幸也さん
■女性カップル「他の区などにもどんどん広まって欲しい」
その後、受領証を受け取った同性カップルのうち2組が、記者団の取材に応じた。
中川司さん(42)は「ここから始まる何かがあるのかなと希望を抱いております」と喜びを語った。パートナーの寺井幸也さん(26)も「こうした受領証を受け取る姿を見てもらうことで、同性カップルを身近に感じてくれる大きな一歩になるのでは」と感慨深げだった。
高島由美子さん(右)と、高野幸子さん
高島由美子さん(45)は「私たちを家族と認めてくださったことに本当に感謝しています。他の区などにもどんどん広まって欲しいなと思っています」と、うれしそうだった。パートナーの高野幸子さん(44)も「これまで病院や不動産の手続きが大変だったので、今回の受領証をいただいたことをきっかけに、全国的に同性カップルへの理解が深まってほしいです」と話していた。
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