こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
豊洲市場に併設される「千客万来施設事業」について、大きなニュースが流れました。
豊洲に予定の観光施設 運営会社が撤退の意向
豊洲市場に併設予定である観光施設「千客万来施設」を設営・運営する予定の事業者(万葉の湯)さまが、このままでは撤退を余儀なくされるかもしれないとの内容です。
そもそも、「千客万来施設」を知らない方のために解説しますと。
これは築地から豊洲に市場を移転するにあたり、築地の場外施設はそのまま残ることや、立地や伝統・文化の面から豊洲市場の集客に不安が残ることを解決し、「豊洲地区ににぎわいをもたらす」ために東京都が肝いりで進めてきた事業です。
以前にもブログで取り上げたことがあるのですが、当初は「すしざんまい」を運営する会社が温泉施設などを運営予定となっていましたが、条件面が折り合わずに破談となります。
過去記事:舛添知事「証拠を出して下さい、何もないです」…その強気の根拠ってなにさ?
事業者を再公募するも、このような背景で破断したところですから、事業者探しは難航。そこで手を挙げて、前向きな提案をしてくれたのが現事業者である「万葉の湯」になるわけですね。
こちらは東京都のHPから抜粋したイメージパースですが、豊洲地区を始めとして多くの人が完成を待ち望んでいる、素晴らしい施設ではないでしょうか。
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ニュースが流れてから関係各所に確認したところ、ニュースではタイトルこそ強くなっているものの、まだ事業者さまの撤退の意思が固まったわけではありません。しかしながら報道などであるように、事業者側は
●「豊洲地区のにぎわいを作り出す」という目的が不透明になっていること
●築地に観光施設ができるようであれば、競合して採算が取れなくなってしまうこと
などを懸念されているようであり、そのご心配は無理からぬものだと思います。
築地再開発の全容はまだ見えておりませんが、仮に東京都が音頭を取ってテーマパーク(観光施設)を創るとなれば、都が主導する施設同士がバッティングしてしまう可能性があります。
民間主導を標榜している計画の全体像を明確にし、この懸念を払拭できるのかどうか、早急に検証しなければなりません。
何より、先に行われました「市場移転に関する関係局長会議」内の資料でも示されている通り、この千客万来施設の整備推進はすでに検討課題となっている財源の問題と並び、移転決着への最重要課題の一つとして認識し、真摯に受け止める必要があります。
私個人としましては、千客万来施設=万葉の湯は、豊洲市場やひいては卸売市場全体の成功のために必要不可欠なものだと考えています。
我々は「築地は守る、豊洲を活かす」という基本方針を掲げて選挙を闘いましたが、まずは完成している豊洲市場を活かさなければ、築地を守ることも難しくなるのではないかと思います。
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千客万来施設の事業者さまは昨年秋に豊洲市場への移転延期が発表されて以來、約1年もの間辛抱強く、市場移転の結論を待ってくださいました。
さらに待っている間にも、少しでも事業を前に進めていくために、煩雑な手続きを一つ一つこなしておいて下さったとも仄聞しています。
その誠意に対して東京都も、そしてわれわれ都議会も応えていかなければなりません。
そのためには繰り返しになりますが、東京都側から十分な説明・再交渉を行う前提として、築地再開発の具体的展望や、付帯される「市場機能」の全容などをできるだけ早期に・現実的に具現化していく必要があるのではないでしょうか。
これまでも百条委員会、豊洲市場問題特別特別委員会を歴任し、市場移転決着に向けて取り組んでまいりました。この課題からも、目を背けるつもりはありません。
課題の大きさと重要性を再認識し、引き続き丹念かつスピーディーな調査・研究を続け、党内や議会内で政策提言を行っていきたいと思います。
それでは、また明日。
(2017年7月12日「東京都議会議員 おときた駿 公式サイト」より転載)