九州電力川内原発1・2号機(鹿児島県薩摩川内市)の周辺住民らが、再稼働差し止めの仮処分を求めていた即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部は4月6日、住民側の抗告を棄却した。
共同通信が伝えた。住民側は最高裁への特別抗告などを検討しているという。
この日の決定は、原子力規制委員会が、2011年の福島第一原発事故後に定めた新規制基準について、耐震安全性や重大事故対策に「不合理な点はない」と判断した。地震の際に予想される震動についても「合理的に予測される最大値を設定しており、不合理な点はない」と結論づけた。
住民側は、九州に広域的な被害をもたらす「破局的噴火」を過去に起こしたカルデラ火山が原発周辺に5つあることを主張した。決定では、規制委の火山対策指針を「巨大噴火の前兆を把握する技術は確立していないのに的確に予測できることが前提で、不合理」としたが、住民側から火山の危険性を「相応の根拠をもって示されていない」などとして「原発の安全性に欠けるとは言えない」と退けた。
川内原発1号機は2015年8月、新規制基準で初めて再稼働し、2015年10月には2号機も再稼働した。住民らの差し止め請求に対し、鹿児島地裁は2015年4月、新規制基準に「不合理な点はない」として請求を却下し、住民側が即時抗告していた。
一方、2016年3月9日に大津地裁が、関西電力高浜原発3・4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを認める仮処分決定を出し、関電は稼働を停止した。現在、日本国内で稼働している原発は川内のみとなっており、再稼働を巡って司法の判断が分かれている。