九州電力・川内(せんだい)原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の市議会は10月28日、原発再稼働に賛成する陳情を賛成多数で採択した。これを受けて、同市の岩切秀雄市長も再稼働に同意を表明した。原発の新規制基準の下、立地自治体が再稼働にゴーサインを出したのは全国で初めて。毎日新聞などが報じた。
この日は特別委員長から審査経過の報告を受けた後、議長と退席者1人を除く24人で採決。再稼働反対陳情10件を不採択とした上で、早期再稼働を求める陳情1件を19対4(棄権1)の賛成多数で採択した。
市議会の判断を受け、2年前の選挙で再稼働容認を訴えて再選された岩切市長は臨時市議会後の全員協議会で「再稼働を進める政府の方針を理解する」と述べ、川内原発の再稼働に同意した。
(川内原発:市長、再稼働に同意 議会の賛成採択受け - 毎日新聞より 2014/10/28 13:49)
再稼働に必要な地元同意の範囲を定めた規定はなく、国はそれぞれの地域に判断を委ねている。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、地元同意の判断は薩摩川内市議会と市長、そして県議会と4者の4者と限るとしており、市が結論を出したことで手続きは県へと移ることになる。
県議会は臨時議会を早ければ11月5日から3日間程度開く方向で調整しており、陳情の採決を通じて賛否を示す予定だ。「11月上旬にも県議会が同意する公算」との報道もあり、地元の県議からは「統一地方選の前に、なるべく間を空けたタイミングで再稼動をさせたいのではないか」との指摘もある。
ブルームバーグによると、薩摩川内市が受け取る原発交付金は年間約12億円に上るという。さらには、使用済み核燃料に対する課税(年4億円)をはじめ、九州電からの税収も多額にる。原発建設や定期点検に伴い、地元で雇用がうまれ、安い電気料金や税金を享受できる原発稼働を前提に生活をしてきた人もいる。岩切市長は2012年の市長選で、川内原発の早期再稼働を掲げて再選。「再稼働は地元経済活性化のために必要だ」と繰り返し訴えてきた。
一方、薩摩川内市に隣接するいちき串木野市は、原発交付金は年に約9000万円で九州電からの寄付金は一切ない状況だ。いちき串木野市と原発から30キロ圏内の地域に半数以上の市民が暮らす日置市では、それぞれの市議会が「地元扱い」を求める意見書を9月末に採択。知事あてに意向を伝えている。
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