新しい時代の、私たちの「生理」。台湾と日本で感じた「違い」に思う。

生理の伝え方も、もう少しだけオープンになればいい。
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Flashpop via Getty Images
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私の「生理」に対するつぶやきがバズった。

 

ただの何気ないつぶやきに、2万を超える人がなんらかの反応をしてくれた。

本当にありがたいことで。私が台湾で経験した生理のカルチャーショックをシェアしたところ、それに対していろんな意見を聞くことが出来た。

・これまで生理で辛いと言えなかった
・生理痛のつらさを分かってもらえなかった
・もっと気軽に生理中だと言いたい
・男女ともに生理についての知識を増やしていくべき
・男性側としても、女性に生理中だと言ってほしい

 

今から少しだけ、「私と生理」のお話にお付き合いいただけますか? 

現在はどんな教育をされているのか、は分からない。だけど私がまだ小学生だったころ、学校で起きた小さな事件。 

泊まりで林間学校に行く前、全校集会のあと「5年生の女子は体育館に残ってください」と先生が言った。

そわそわする私たち。

5年生の女子以外の生徒が体育館を出たあと、先生は「生理」と「生理用ナプキンの使い方」のレクチャーをはじめた。私はそのときはまだ生理を経験したことがなかったので、女性の股間から毎月1回血が出てくるなんて、遠い世界のこと。のように感じていた。

女子限定の秘密集会が終わったあと、先に追い出された男子がしつように絡んでくる。「女子だけで、何の話をしていたんだよー?」と。

私はまだ初潮を迎えていなかったこともあり、生理に対して何の感情もなかった。だから「月に1回ね、女の子は股から出血して、おむつみたいなパッドを使わないとあかんらしいよ」と秘密集会の内容を詳細に、男子たちに話した。

男子たちが「こえーーー」と肩をすくめた瞬間。「岸本さん!」と中年の女の先生が叫んだ。こっちに来なさいと 

教室から出て、廊下の端っこに連れて行かれる。とことこと先生のあとをついて歩く間も、私はなんで呼び出されているか気がつかなかった。

先生は声をひそめて、でも眉間に血管を浮き上がらせ、私にこう言った。

 

「せっかく女子だけ集めて内緒で説明したことをなんで男子に言うの? なんて恥ずかしい! 今後大きな声で生理のことを話すなんて許しませんよ。」

 

私はこの先生の言葉に疑問を持つべきだったのかもしれない。他の大人に生理について話すことは恥ずかしいことなの? と尋ねるべきだったかもしれない。

でもね。まだ10歳の小学生で、先生の言うことが正しいと信じていた頃。私はなんてダメなことをしてしまったんだ...と呼び出されて怒られたあと、何度も自分の言動を後悔した。

それからずっと、幼い頃にインプットされた「生理について語るべからず」という言葉を律儀に守っていった。プールの授業を休むときも、風邪だと言い張り、全校集会で生理痛がひどすぎてうずくまってしまったときも、寝不足だと言った。生理中トイレに行くときも、隣の校舎の理科室の隣へ。誰もこないひっそりとした薄暗いトイレでナプキンの交換をした。

大人になっても、生理前にどんなに気分が落ち込んで辛い時も、生理中にのけぞるような痛みが襲ったときも、私は一人耐えてきた。なんで女に生まれたんだ、生理が来なくなればいいのにと、何度も何度もトイレで一人涙を流した。

 

そんな私がある日、台湾で暮らすことになった。そのころ台湾人の彼氏がいて、その人についていく形で。

そこで私はめまいがするほどのカルチャーショックを経験する。

「生理になったから、いけなくなった」

初めてできた台湾人の友達と遊ぶ約束をしていた週末。そろそろ家を出て、集合場所に行こうかなと思っていたとき、こんなLINEが届いたのだ。

「洋子は生理中だから」

台湾人彼の両親と初めて会ったとき、その彼氏は開口一番に私が生理中であることを両親に告げた。恥ずかしくて耳の裏まで真っ赤になっていたと思う。でも、その日彼と彼の両親は私が生理であることを中心にして、予定を組み直してくれた。

「生理だから休みますー」
「おけ、あたたかくして寝とけよ!」

台湾企業に就職したあと、毎日のように「生理なんで休みます」というメールが同僚から届いた。それは全社員参加のメーリングリストで社長も男性社員もみんな見ている。それでも「生理で休むこと」が堂々と宣言され、それを責める人はだれもいなかった。あたたかくして休むんだよとみんなが生理中の社員を気遣った。

 

少しずつ少しずつ、台湾の人たちがあけっぴろげに生理を話す姿を見て、生理中は身体を大事に過ごすべきだよと教えてもらって。私は「生理」について学ぼうと思ったし、自分がどんな辛さを抱えているのか周りに話すことができるようになった。

そんな経験を今日はつぶやいた。そうすると本当に本当に多くの人からポジティブな反応をもらえた。嬉しかった。

あぁ、きっと変わっていくんだな。

令和を生きる女性は、自分が「生理中」だとなんのためらないもなく周りに伝えられる。そして生理があることの尊さ、生理にまつわる不快感とそれを軽減できる過ごし方を、男女問わずみんなが理解している。

生理だけじゃない。いろんな人が持つ不快感に耳を傾けられるように。

今回のバズを目の当たりにして、そんな社会に私たちはきっと変えていけるんだと勇気をもらえた。

まず私は...

日本でも周りの人に、生理中で少し疲れやすいの。って言ってみようと思う。どんなふうに辛いのかちゃんと自分の言葉で説明してみよう。

どんな反応がかえってくるのか怖いけど。

でもね、昔の私みたいに一人でトイレの中で泣いている女性を一人でも減らしていきたいから。

 

本記事は、2019年4月9日のnote掲載記事

より転載しました。