PRESENTED BY ノルウェー水産物審議会

サステナブルな漁業は本当にある?ノルウェーがニシン枯渇から復活し、世界トップの水産物輸出国であり続ける理由

ノルウェーは気候的にトマトもキュウリも育てられません。魚がなければ、人々がノルウェーに住む理由はありません。
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Malorny via Getty Images

2050年、世界の人口は97億人になり、現在の2倍の食糧が必要になると言われている。さらに、気候変動問題も差し迫り、その観点からも農業や畜産業の持続可能性に関する議論を耳にするようになった。

では、漁業はどうだろうか?

乱獲による水産物の枯渇や、養殖による環境への影響が指摘されることもあるが、魚は今後ますます重要なタンパク源になるかもしれない。

そんな中、注目したいのがノルウェーの漁業だ。ノルウェーは世界第二位の水産物輸出国でありながら、最先端技術を駆使したサステナブルな漁業を実施しているという。

そこで、ノルウェー水産物審議会 日本・韓国担当ディレクターのヨハン・クアルハイムさんに話を聞いた。

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ヨハン・クアルハイムさん。ノルウェー水産物審議会 日本・韓国担当ディレクター。好きな魚はサーモンとサバ。好きな魚料理はフィスキ・グラタン。

たった6匹の魚を戻しただけで裁判に。徹底的な漁獲量の管理

ー ノルウェーの漁業がサステナブルといえる理由はなんでしょう

ヨハン・クアルハイムさん(以下、ヨハン):まず、乱獲がありません。ノルウェーでは、漁船ごとに漁獲量が定められている上、獲得した魚は全て水揚げするように徹底的に管理されています。必要以上に魚を獲ったり、漁獲量をごまかしたりすることができないのです。先日は、沿岸警備隊が、6匹の魚を海に戻している漁師を見つけました。その漁師は裁判にかけられたほど厳格に監視されているのです。

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Yuki Takada /HuffPost Japan

ー 最先端技術を利用したスマート漁業も進んでいると聞きましたが、それがサステナブルな漁業にどう繋がるのでしょうか?

ヨハン:漁師自身があらゆる機器を船に搭載し、全てデジタルで計測しています。彼らは、獲った魚はすべて水揚げしなければならないため、売り物にならない魚には関心がありません。だから、最先端技術を導入し、稚魚を除いた成魚のみをピンポイントで捕獲しています。

例えば、ノルウェーはサバが有名ですが、遠方でもサバの群れを見つけ、大きさを測ることができます。サバの大きさが適切な時に、初めて網を張るのです。

ー 水揚げされた後の管理はどうしているのでしょう?

ヨハン:どこで、どれくらい魚を獲っていたかを把握する漁獲証明書を導入しています。それにより、輸出の際は、漁獲量と販売量が合っているかチェックしなければなりません。

これを実現しているのは、漁師と政府の良好な関係だと思います。もし漁師が漁獲量をごまかしていたら信頼を失います。ですから、漁業が政府の決めたルールを守るのです。乱獲や違法漁業の解決には、そのような業界全体の信頼関係の構築が必要だと思います。

養殖サーモンは、牛肉や豚肉より圧倒的にCO2排出量が少ない

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Yuki Takada /HuffPost Japan

ー 養殖についてはどうでしょうか?ノルウェーではアトランティックサーモンの大規模な養殖をしています。

ヨハン:ノルウェーの利点は、漁場がサーモンに適した海水温度であることです。海水温度の管理が不要なので、水温を上げるためのエネルギーを使いません。さらに、CO2排出量の70%は、エサの生産に関するものですが、サーモンは体温調節や運動などに過度にエネルギーを使う必要がなく、成長するためだけにエサを使いますから、1kgのサーモンを生産するのに、たった1.2kgのエサしか必要ありません。そのため、サーモンの養殖のCO2排出量は非常に少ないのです。牛肉や豚肉よりも圧倒的に少ないので、ノルウェーサーモンを料理に取り入れることは気候変動対策にもつながるかもしれません。

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出典元:Norwegian Seafood Council

ー エサといえば、抗生物質や着色料を使っていると聞いたことがあります。

ヨハン:エサは自然由来のペレットを使い、抗生物質は使っていません。抗生物質を大量に使っていたのは、1980年代のことです。5万トンのサーモンを生産するのに、50トンもの抗生物質を使っていました。これは多いですよね。

今、ノルウェーでは年間130万トンのサケを養殖していますが、その1匹1匹にワクチンを接種しています。それによって病気を防ぐため、抗生物質は使っていないのです。ワクチンは人体に影響がありませんので、安心して食べられます。

また、エサには、甲殻類の殻などに含まれるアスタキサンチンという成分を混ぜています。これは天然のサーモンが本来摂取している成分で、それにより、サーモンの健康的なピンク色を維持しています。私たちがビタミンを取るように、サーモンも食事から必要な栄養を摂ることで、ピンク色になっているのです。

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インタビューに答えるヨハン・クアルハイムさん。

 過去にはニシンが枯渇したことも…

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Roberto Moiola / Sysaworld via Getty Images

ー ノルウェーが国全体で漁業に力を入れる理由は?

ヨハン:ノルウェーは歴史的に、水産物がメインの資源でした。気候的にトマトもキュウリも育てられません。魚しかなかったのです。魚がなければ、人々がノルウェーに住む理由はありません。だから、みんなで漁業を守っているんですね。

ただ、ノルウェーでも過去には失敗がありました。

1950年代末から60年代にかけて、漁業技術が発展したことで、海のニシンをほとんど獲ってしまったのです。そこで、ニシンの量を調べることが、急務になりました。漁師は、次の世代に魚を残すために、どれだけの魚を収穫できるか、そのバランスを科学者と一緒に考えました。この動きは、やがてニシンだけでなく、他の漁業にも広がりました。

さらに1990年代には、ノルウェー政府は、水産業への補助金を停止しました。業界に補助金を出すと、過度な漁を続けてしまうためです。

漁師がいなければ生活できない

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ノルウェー水産物審議会

― 厳しい規制があり、補助金がない中でも、漁師や企業はなぜ漁業に投資できるのでしょう?

ヨハン:ノルウェーでは、漁師はとても裕福な人々だと思われています。たくさんのお金を稼ぎ、仕事に誇りをもっている。だからこそ、多くの若者が自ら船を買って漁業に参加します。

また、ノルウェー人の90%は、海岸から10キロ以内の場所に住んでいます。漁師がいなければ、海からの収穫がなければ、私たちは生活できないと国民が理解しているのです。

日本でもノルウェー産がおすすめの理由

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Jefferson Gonzaga Da Silva / 500px via Getty Images

ー 日本の消費者にとってはどうでしょう?輸入時のCO2排出を考えても、ノルウェー産を選ぶべきだと思いますか?

ヨハン: CO2排出量は今はかなり抑えられています。例えば、サーモンの輸出時は、頭や内臓を取り、フィレの部分だけを送ります。日本に届く魚の100%を可食部にすることで、無駄を減らし、CO2の排出量を減らしているのです。

航空会社もCO2排出量の削減に努めています。すでにフランクフルトから上海への便は、バイオ燃料を使用したカーボンニュートラル(※)なフライトです。

また、持続可能な世界にするために、消費者がサステナブルな食品を選んでいくことは大切です。その点で、日本の消費者にもノルウェー産の水産物をおすすめします。生産から輸出まで、非常に厳しく管理・監視されていますから。

※温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質の排出量がゼロになること。

ノルウェー産シーフードを食べてみよう

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ノルウェー産シーフードの目印である「Seafood from Norway」。ノルウェーの海で漁獲、養殖された高品質な魚介類につけられる。

 乱獲の問題や養殖魚の安全性などの噂から、サステナブルな水産物は本当にあるのか疑問を持っていたが、ヨハンさんのお話から、ノルウェーの水産物はとてもサステナブルであると感じられた。

これからの持続可能な漁業を少しでも進めるため、私たちも消費者として、ノルウェー産のサーモンやサバなど、サステナブルな水産物を選んでみることから始めたい。

ノルウェー水産物審議会では、ノルウェーシーフード全国調査キャンペーンを実施中!サーモン派とサバ派の投票キャンペーンを行うとともに、ノルウェー産サーモンとノルウェー産サバのおいしいレシピも公開中です。

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ノルウェー水産物審議会

 

(取材・翻訳 / 久保田徹 執筆・編集 / Murai イラスト / 高田ゆき)