力を合わせて「持続可能な世界と日本」を ~「SDGs実施指針」策定に合わせて共同記者会見を開催~

SDGsは、国連全加盟国により承認された、2030年までに世界から貧困をなくし、持続可能な社会をめざす17個の目標です。
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【プレスリリース】

2016年12月23日

SDGs市民社会ネットワーク

12月22日、安倍総理大臣出席のもと開催された「SDGs(エス・ディー・ジーズ)推進本部」第2回会議において、「SDGs実施指針」およびその具体的施策が策定されました。指針策定に合わせて、SDGsを推進するNGO/NPOなど市民社会でつくる「SDGs市民社会ネットワーク」は日本記者クラブで記者会見を開催。

指針策定に向けて2016年9月に設置された「SDGs推進円卓会議」の民間・学界・国際機関・NGOのメンバーや政府担当者などが参加、指針の評価や今後の実効性ある進め方などについてフロアからの質疑応答もはさみつつ協議を行いました。

SDGsは、国連全加盟国により承認された、2030年までに世界から貧困をなくし、持続可能な社会をめざす17個の目標です。SDGs推進本部は、内閣総理大臣を本部長、全閣僚を構成員として本年5月に設立されました。同本部のもと、SDGs達成に向けた日本の基本方針として「SDGs実施指針」の策定が進められ、22日正式に策定されました。

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策定を受け、SDGs市民社会ネットワークは日本記者クラブで記者会見を実施し、実施指針をいかに評価すべきか、政府、民間セクター、NGO、アカデミア、国連などそれぞれの立場から意見を表明しました。本実施指針に関しては、2016年8月より検討が始まり、政府が多様な関係者の参画のために設置した「SDGs推進円卓会議」が9月11月に開催、同会議でのインプットおよびパブリックコメントを踏まえ策定されました。

日本政府もSDGs達成にコミットしています。

その点で、日本政府が省庁横断的な枠組みをつくり、指針を策定したことは、持続可能性の危機に対して、国として正面から向き合い、責任を果たしていくための取組の第一歩といえるでしょう。SDGs市民社会ネットワークは、「実施指針」というバトンを手に持って日本が素早いスタートをきったことを評価します。

初めに、SDGsを担当する内閣官房の田村政美・内閣参事官より、「指針は政府としてどのようにSDGsに取り組むかを示した国家戦略といえる。今後は、実施していくことが肝要。引き続きステークホルダーとの連携のもと取り組んでいきたい」と挨拶。

その後、推進本部の事務局を務める西岡達史・外務省地球規模課題総括課長から、まずSDGsの意義について、SDGsに先駆け2015年までの目標として2001年に策定された「ミレニアム開発目標」(MDGs)が主として途上国の開発目標にとどまっていたのとは異なり、「世界全体の経済・社会・環境すべてを包括し、国際社会全体の目標である」こと、環境破壊、感染症等の負の影響、グローバルに連鎖した課題に対し、SDGsでセットされた17目標・169ターゲットの実現を目指して、あらゆる国が取り組む必要があることが強調されました。

本年5月に伊勢志摩で開催されたG7サミットにも言及し、日本政府による途上国支援を通じた国際課題解決に取り組む決意が表明されました。また、西岡氏は「実施指針策定後も多様な分野の関係者と連携を進めていきたい」と述べました。

実施指針策定で助言を行った「SDGs推進円卓会議」のメンバーであり、SDGs市民社会ネットワーク世話人も務める黒田かをり氏(CSOネットワーク)は、「様々な分野のNGOが参加し、議論を重ね、実施指針の策定プロセスにも積極的に参加してきた。

様々な課題が山積する中、マルチステークホルダーが策定プロセスに参加し、指針を策定した日本の動きは歓迎したい」としたうえで、「地方での取り組みなど、日本として取り組みが必要な課題に、さらにリソースが投入されることを期待したい。策定はあくまでもスタートであり、私たち一人一人が役割と責任を果たしていくことが重要。そのための環境整備も期待したい」と述べました。

次に、同じく円卓会議メンバーを務めた有馬利男氏が代表理事を務める一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの大田圭介事務局長は、236の企業・団体が日本から参加する企業のイニシアティブ団体として、円卓会議ではSDGsを企業の文脈に翻訳し、全体の枠組み、プロセスについて、省庁間横断・協力を推進する重要業績評価指標(KPI)の設定、企業へのインセンティブ、一般への広報・啓発などを円卓会議で提言してきた」と民間セクターとしてSDGsに果たしうる位置づけを紹介したうえで「指針を具体的に実行するための行動計画の策定はもちろん、企業の技術やビジネスモデルが海外で発揮できるような仕組みなどを期待したい」と述べました。

学界を代表して円卓会議委員を務めた、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、国連大学サスティナビリティ高等研究所(UNU-IAS)シニアリサーチフェローの蟹江憲史氏は「今回の指針策定プロセスに、マルチステークホルダーが関わったことが、この指針の特徴であり、日本の変化を予感させる内容になっている。

ただし、ある研究機関の分析によれば、日本のSDGs達成度合いはある評価によれば世界順位で18位であり、世界でSDGs解決のために指導的地位に立っているとはいいがたい状況にある」としたうえで、「特に指針の7ページでSDGs主流化について記述があるものの、現状改定のための指摘があるとはいいがたい。他方、SDGsという世界共通の言語が設定されたことで、持続可能な社会に向けて意識を高め、具体的な取り組みへ向かうことを期待したい」とのべました。

最後に、国際機関の立場から円卓会議委員を務めた国際連合広報センター(UNIC)所長の根本かおる氏は、まず、指針策定にあたって、「円卓会議」の設置により主要な関係セクターが参画できたことに感謝の意を述べたうえで、「誰一人取り残さない」ことを掲げたSDGsの考えは、日本政府が推奨する「一億総活躍社会」や日本政府が国際社会でその重要性を繰り返ししてきた「人間の安全保障」の概念とその礎は同じであり、日本政府のリーダーシップが期待できるとしました。

そのうえで、「実施指針で広報・啓発が、教育を含め、包括的に記載されていることを歓迎する。国内課題にも踏み込む有効なツールとして活用されることを期待したい」と述べました。

その後の質疑応答では、2019年HLPF会合で日本が自発的レビューに参加することについて、どのイシューが中心的に扱われるのか、包括的な目標を、いかに実効性を持たせるのかについて、しばしばいわれる「分野横断的」とはどういう内容を指すのかなど活発な意見が飛び出ました。

特に議論の中で2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機をみるかどうかの質問もあり、小池百合子・東京都知事が、パラリンピックに向け、障害を持つ人を含めたすべての人にやさしい街づくりを進めたいというメッセージを発信していたことや、国際オリンピック委員会が2012年のロンドンオリンピック以来「持続可能性」がテーマとなってきたことや、「持続可能な調達コード」の策定が進んでいることも併せ、2020年を契機にいかに持続可能な社会を作れるかという視点の重要性が指摘されました。

また、2017年の夏にニューヨークで開催されるSDGsのモニタリング会合である「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」(HLPF)の「自発的レビュー」対象国に日本が名乗りを上げたことについて、「SDGs市民社会ネットワーク」としても、市民社会の独立レポートを提出する予定であることを表明、市民社会として国内外のネットワークとの連携をしてきたという強みを活かしていきたいとの提起もなされました。

黒田氏が記者会見で述べたように、実施指針は「目的」ではなく、あくまでも達成のためのスタートラインです。指針ができたことで、政府だけではなくNGO、民間セクター、アカデミア、国際機関など関連するあらゆるセクターがともに「持続可能な社会」の実現を目指し、連携を強化させ、具体的な取り組みを進めるための方向性が示されたことになります。

SDGs市民社会ネットワークでは、今後も多様なセクターと協働しながら国内外ネットワーク団体としての強みを活かし、「誰ひとり取り残さない社会」を目指し活動を続けていきます。

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【関連資料】

【問い合わせ先】

SDGs市民社会ネットワーク(事務局:動く→動かす)

担当:稲場雅紀・長島美紀・関澤春佳

TEL:03-3834-6902(アフリカ日本協議会)

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