空腹のホッキョクグマが測候所を包囲 ロシアの調査団が取り残される

ロシアの気象学者たちが空腹なホッキョクグマ5頭に取り囲まれ、バイガチ島にある気象観測所から実質的に身動きが取れなくなった。

世界自然保護基金(WWF)は8月27日、ロシアの気象学者たちが空腹なホッキョクグマ5頭に取り囲まれ、バイガチ島にある気象観測所から実質的に身動きが取れなくなっていると発表した。付近に潜んでいるホッキョクグマのために、1日2回の海水温度測定などができない状態だという。

この測候所にいるのは、気象学者2人と技術士と1人の調査団。ロシアの地方紙「シベリアン・タイムズ」によると、気象学者の一人は「昨日も施設の外で、クマ1頭を見た」と語った。

「技術士が3回、弱い照明弾を発射しましたが、恐がりもしませんでした。何とか追い払ったものの、まだ近くにいます」。

ホッキョクグマがロシア極北で働く気象学者の調査団を包囲

「クマたちは施設のそばで眠っています。そのうち2頭は、いつも一緒に行動しているようです」と気象学者は語った。「クマたちは攻撃的です。この前は施設のそばでケンカをしていました」。

WWFによると、調査団が持っている武器は、照明弾とゴム弾だけだという。

「これは緊急事態です」と、ネネツ自治管区のイゴール・コーシン知事はロシアの通信社「RIAノーボスチ」に語った。知事は、救助を送るとしているが、クマを殺害しないようにするという。

研究者たちは、フェンスのない小さな観測所に先週から身動きがとれない

ロシア当局によると、このような遠隔地にはゴミ収集システムが存在しないため、ゴミ山として放置されており、クマたちはそれをあさりに、人のいる地域に引き寄せられてきたのだという。

「ゴミに残飯が含まれている場合は、特にそうです」とコーシン知事はRIAに語った。2014年にはクマ1頭が石油施設から40キロ離れたところまで移されたが、それでもまた、戻ってきたという。

気候変動によって海の氷が解け、ホッキョクグマとその生息地が脅かされており、ホッキョクグマは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅の危険が増大している「危急種」と指定されている

アメリカ地質調査所の生物学者でホッキョクグマ研究の第一人者であるトッド・アトウッド氏は7月、ロイターに「大量の海の氷が失われ、食糧となる海産物も減ったことで、ホッキョクグマの頭数は今後さらに減少するだろうとの見通しが、危急種に指定された一番の理由です」と話した。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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