銀座にある中央区立泰明小学校(和田利次校長)が、今春に入学する1年生から、標準服(制服)を海外高級ブランド「アルマーニ」がデザインを監修したものに切り替えることが明らかになった。
洗い替えのシャツまで全てそろえると9万円。今の標準服と比べると、新たに加わった夏服や洗い替えの価格を含めると、3倍以上の値上がりとみられる。
なぜ公立学校が高級ブランドのデザインを選んだのか、保護者らから批判の声も上がっている。批判の的となっている「標準服」とは、そもそもどんな意味なのか。
標準服、制服との違いは
実用日本語表現辞典によると
標準服:学校などの組織において、所属者が着用することが望ましいとされる服装。ただし制服とは異なり、常時着用の義務はなく、推奨されるに留まる。
デジタル大辞林によると
制服:学校・会社など、一定の集団や団体に属する人が着るように定められている服装。ユニホーム。
とされている。
つまり、強制力があるかないかの違いのようだ。
このため、標準服は、学校が推奨する色やモデルのことであって、指定する販売店で売られているものでなくてもいいし、自分で裁縫したものでもいいし、本人がいやなら着なくても、学校が強制する類のものではない。実際、学校が示している標準服を着た子どもと、私服の子どもが一緒にいる学校も存在する。
制服か標準服か、どう位置づけるかは、原則各校の判断に委ねられている。
だが、「標準服」と位置づけている学校でも、実態はほとんど「制服」のような強制力を持ち、転校生に「標準服」を買わせたり、「標準服」から外れた服装の生徒が指導を受けることも少なくない。
学校生徒の制服は法律がない
子ども権利に詳しい山下敏雅弁護士は、自身のブログ「どうなっているんだろう?子どもの法律」(2017年7月1日)で中学生の相談に答える形で次のように解説している。
「自由に服を着られるのがあたりまえで、逆に自由に服が着られないのが例外的なことです」
「例外として服装の自由を奪うなら、しっかりとしたルールが必要です。ルールを作るなら、『よっぽどの理由』があるのかをきちんと議論しなければいけません」
「しかし、学校の生徒の制服は法律がありません。日本は子どもの権利条約という世界との約束で,「子どもの表現の自由を制限するときは、きちんと法律を作らないといけない」と確認しています。法律がないのは、服装の自由を制限しなければいけない『よっぽどの理由』がないからです」
「制服のルールはそれぞれの学校が決めています。でも、学校は何でも好き勝手に『校則』を作れるわけではありません。法律でも奪っていない生徒の服装の自由を学校生活のためという名目(めいもく)で学校が簡単に奪ってしまうことは許されません」
「公立の中学校で制服を着なければいけないのかが争われた裁判の判決で、裁判所はこう言っています。『校則は,生徒の心得(こころえ)を示したもの。校則に書かれている制服は、むりやり着させられるものではないし、着なかったからといって、不利には扱われない』」
「実際には、あなたが私服で登校すれば、学ぶ場にふさわしい服装なのかどうか先生から指導されるでしょう。でも、あなたが『ふさわしい服装だ』と自信をもってきちんと話をすれば,学校はそれ以上、あなたに制服を強制することは法律上できないのです」
ハフポストでは、制服の価格が妥当なのか、制服は何のために必要なのか、決定までのプロセスの透明性について考えます。Twitterのハッシュタグ #制服を考える か masako.kinkozan@huffpost.com に声をお寄せ下さい。