修学旅行生置き去り事件-香取市立栗源中学校の行動に疑問-

香取市立栗源(くりもと)中学校の修学旅行で、多くの生徒らが特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きに乗れず、行程に大きな影響を与えたことが問題となっている。しかし、同校の行動にも疑問がある。
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香取市立栗源(くりもと)中学校の修学旅行で、多くの生徒らが特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きに乗れず、行程に大きな影響を与えたことが問題となっている。しかし、同校の行動にも疑問がある。

■事件は成田駅で起こった

千葉日報などの記事によると、香取市立栗源中学校の3年生や引率教師など39人は、2015年5月10日、JR東日本成田線成田8時28分発の特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きの先頭1号車に全員乗車するはずだった。

ところが、乗車を開始してから15秒で前触れもなく乗降用ドアが閉まり、25人が取り残されたという。時刻表をめくると、特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きの成田停車時間は1分だが、当日、なんらかの理由で数十秒遅れていたら、15秒停車に納得がいく。

成田駅には発車メロディーが備えており、車掌がボタンを押して鳴らしたはず。同校側39人全員が"まったく耳に入っていない"というのも不思議だ。鳴らし終えたあと、駅員によっては、「まもなく電車が発車いたします。閉まるドアに御注意ください」など、念を押す。

駅員が生徒の列が途切れたのをモニター画面で確認し、車掌に合図を送った点については、JR東日本がその映像を公開しない限り、当事者は納得しないだろう。

讀賣新聞の記事を見ると、同校の行動に疑問がある。

「生徒と教員、添乗員が1列になって先頭車両に乗り込んでいた。」

出典:讀賣新聞「乗車する修学旅行生の列の途中、ドア閉まる」

特急〈成田エクスプレス〉用のE259系は、乗降用ドアが1両につき2か所(グリーン車のみ1か所)あり、39人なら20秒以内で乗り込めるにもかかわらず、1か所に集中していたらしい。なぜ2組に分けて乗車させなかったのか首をひねる。同校が席をキープした1号車の定員は40名。貸し切り同然にもかかわらず、1か所の乗降用ドアに集中乗車させた意図がますます理解できない。仮に「生徒の安全を考えて、1か所に集中させました」と校長が説明したとしよう。それは、ただの言い訳に過ぎず、「列車に故意に遅らせようとした」という見方もある。「では、成田まで利用した各駅停車でも同じ行動をしたのか」ときいたら、「近くのドアから降りました」と答えるに違いない。

■急ぐ様子がない

特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きに乗れなかった25人は、成田9時05分発の特急〈成田エクスプレス6号〉池袋・横浜行きに乗り、東京へ。しかし、東海道本線戸塚で信号トラブルが発生し、定刻より42分遅れの10時35分に到着した。東海道新幹線10時23分発の修学旅行用列車に間に合わず、平等院鳳凰堂(京都府宇治市)に行けなくなった。

ここでも同校がとった行動に疑問がある。"急ごう"という姿勢が感じられないからだ。

成田で特急〈成田エクスプレス4号〉池袋・横浜方面大船行きに乗り遅れた場合、8時36分発の各駅停車千葉行きに乗り、途中の佐倉で特急〈しおさい6号〉東京行きに乗り換えると、終点には9時33分(平日は9時37分)に到着する。仮に戸塚で信号トラブルに巻き込まれ、定刻より40分遅れたとしても、終点到着は10時13分頃なので、少々急げば間に合うし、東海道新幹線を管轄するJR東海に連絡を取れば、発車を若干遅らせるなどの対応ができたかもしれない。

同校の引率教員や旅行代理店の添乗員は、"生徒のために"という意識がない。かつて、巨人軍は1993年8月6日に東海道新幹線で発生した作業車3両の脱線事故の影響で、〈こだま〉と在来線の乗継で名古屋へ移動し、ナゴヤ球場で試合を心待ちにしているファンのために全力を尽くしたが、残念ながら間に合わず、試合中止となった。

今回の事件はJR東日本に非があるのは確か。この日の当該時刻は、千葉方面の朝ラッシュが一段落し、駅員数人がホームから事務室に戻った可能性もある。しかし、新聞記事を読む限り、同校側の行動に疑問点がある。教師、生徒、添乗員が三位一体となって、あの日の行動を振り返り、問題点を洗い出す必要がある。

Yahoo!ニュース個人より転載)