サウジアラビアは、歴史上初めて女性有権者が参加する選挙のために、8月16日から名簿登録を始めた。しかしサウジアラビアの女性には未だ数々の障害が立ちふさがり、サウジが男女平等を確立するためは、まだまだ道半ばであることが浮き彫りになった。
1月に死去したアブドラ国王は2011年の時点で、2015年に行われる地方自治評議会選挙で女性に参政権を付与すると発表していた。
地方自治評議会選挙は4年ごとに実施される。初の選挙は12月12日に実施予定で、有権者登録は22日(メッカとメディナでは16日)から開始された。
地元紙「サウジ・ガゼット」によると、最初に名簿登録を済ませた2人の女性は、メディナのジャマル・アルサーディさんとメッカのサフィナズ・アブ・アル・シャマットさんだった。
アラブ・ニュースによると、少なくとも70人の女性が選挙に立候補する予定で、80人以上の女性が選挙運動本部長として登録を済ませた。
「地方自治評議会選挙に、サウジの女性が有権者・候補者として参画するのは、私たちの夢でした」と、アルサーディさんはサウジ・ガゼットに語った。「私たちは、まだスタートラインに立っただけなんです」
投票するための法的な障害は解消されたが、他のサウジの法律と慣習が、女性有権者の投票の障害となりそうだ。
サウジの女性は今も課せられている「移動の制限」と闘わなければならない。さらに車の運転が法律で禁じられているので、女性たちの多くは、名簿登録や投票に行くための交通手段を、自分たちの男性家族に頼らなければならない。女性投票権に反対する男性親族も、障害の一つとなる。政府は投票者に個人のIDカードの所持を要求しているが、女性の多くが所持していない。
「女性の権利を飛躍的に前進させるために、サウジ当局は男性の後見人制度を廃止すべきです。この制度のもとで、各省庁の行政窓口は、男性後見人の承諾なしに女性がパスポートの取得、結婚、旅行、高等教育を受けることが禁じているのです」。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアダム・クーグル氏は20日語った。「その時になって初めて、サウジアラビアの女性は、男性と対等に社会に貢献できるのです」
国際女性人権養護団体「イコーリティ・ナウ」中東・北米担当コンサルタントのスアド・アブダイヤー氏は、ハフポストUS版にEメールで、クーグル氏の懸念に同意した。
「これは大きな一歩です。私たちは、サウジアラビアの女性や少女たちに権利を与え、女性たちへの差別をなくす、ありとあらゆる運動を促進しています」とアブダイヤー氏は語った。「次に必要なことは、サウジアラビアの男性後見人制度廃止への取り組みを続けることです。この制度は、サウジの女性に大きな困難を引き起こしているのです。男性後見人制度が廃止されれば、誰もが恩恵を得ることでしょう」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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