サウジアラビア、レイプ被害を主張していた外国人メイドの死刑を執行

女性は雇用主を殺害、正当防衛を訴えていました。
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サウジアラビアでメイドとして働き、雇用主を殺害したとして死刑判決を受けていたインドネシア人女性が、10月29日、サウジ当局によって処刑された。女性は、雇用主から数カ月に渡って性的暴行されていたと主張。正当防衛を訴えていた。ワシントン・ポストなどが報じた。 

処刑されたのは、トゥティ・トゥルシラワティさん。ジャパン・タイムズによると、トゥルシラワティさんは雇用主の男性から数カ月に渡って性的暴行を受けており、2010年、レイプしようとした男性を殺害してしまったという。

ジャカルタにある出稼ぎ労働者の支援団体「ミグラント・ケア」によると、トゥルシラワティさんは自己防衛であり、殺意はなかったと主張。しかし2011年、トゥルシラワティさんは死刑を言い渡されていた。

■サウジアラビアで出稼ぎメイドをするインドネシア人

朝日新聞によると、2012年の時点でサウジで働くインドネシア人は約150万人。イスラム教の聖地メッカ巡礼と高給という「二つの夢を同時に満たす国」として人気が高い。受け入れ側にも、同じイスラム教徒だという安心感があるという。

しかし、サウジで出稼ぎするメイドたちは立場が弱く、雇用主から虐待を受けた末にトラブルに巻き込まれることも多かった。サウジアラビアでは、労働者の逃亡や異性との交流を恐れて、メイドの外出を禁止している家庭も多かったという(2011年7月2日付朝日新聞)。

また、殺人で死刑判決を受けるケースも相次ぎ、2011年6月には、雇用主を殺した罪で、インドネシア人メイドが斬首刑された。この女性は、雇用主から一時帰国が認められないなどの虐待を受けていたと主張していた。

これらの状況を受け、インドネシア政府はこれまで、移住労働者の権利と労働環境の改善について、サウジ政府と協議してきた。トゥルシラワティさんの処刑は、インドネシアとサウジの外相が、この問題について協議した直後だったという。

トゥルシラワティさんの処刑について、サウジからインドネシア政府や家族への事前の通達はなかった。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は31日、サウジ外相に対し、今回の処刑を抗議。事前に通達しなかった理由を伝えるよう要請した。