足を全部出さなくても、美しい体操は見せられます――。
スイスのバーゼルで4月21日に開かれたヨーロッパ体操競技選手権に、ドイツのサラ・ヴォス選手が全身を覆うボディスーツタイプのユニフォームで出場した。
女性体操選手は一般的に、足をすべて露出するレオタードで競技することが多い。
ロイターによると、体操選手が体を覆うするユニフォームを着ることは国際ルールで認められているものの、宗教的な理由以外で、足を覆うユニフォームを着る選手はほとんどいないという。
しかしヴォス選手は、居心地の良いユニフォームで競技したいとボディスーツを選んだという。
背景にあるのは、女性アスリートを性的な目的で撮影するなどの問題だ。
こういった行為はスポーツ界で大きな問題になっており、体操ドイツチームは選手がボディスーツを着て出場するのは「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」だとツイートしている。
さらに同チームは「我々の選手たちは、若い女性アスリートたちのロールモデルになり、居心地悪いユニフォームを着なくても、自分の演技を見せられると伝えたいと望んでいます」というメッセージを伝えている。
ヴォス選手も競技の後、Instagramに写真を投稿。
望むユニフォームを着ることで居心地よく競技できるだけではなく、このユニフォームでも美しい演技を見せられる、と述べている。
投稿には「素敵!おめでとうサラ!」といった同じ体操選手からの祝福の言葉や、「素晴らしいですね。ユニフォームのアップデート、すごくいいと思います。スポーツに変化をもたらしてくれてありがとう!」といった感謝のコメントも寄せられている。
性的な意図での写真や動画の撮影は、海外だけではなく日本でも問題になっている。体操や水泳など、体を露出することが多い競技が標的になりやすいという。
女子バレーボール元日本代表の大山加奈さんはハフポストの取材で、試合会場で盗撮行為が起きたり、短いユニフォームに戸惑ったりした経験があったと語っている。
被害が拡大していることから、日本オリンピック委員会(JOC)も、この問題に取り組むと発表している。